在宅で働き始めてから、何度か「自分には向いていないのかもしれない」と思ったことがあります。この記事は、その気持ちが出てきたときに何を確かめればいいのかを、実際に自分がどう感じたかも含めて書いたものです。
書いているのは、飲食の現場に10年いたあとフリーランスとして独立した私です。今はSNS運用代行の仕事を在宅でしています。営業が苦手で、その苦手を埋めるために自動化を作り始めた人間です。順調に来たわけではなく、独立してから半年ほどは無収入で、そのあとの半年も収入は一桁万円台でした。
先に結論を書いておきます。「在宅が向いていない」と感じるとき、その原因が在宅という働き方そのものにあることは、実はあまり多くありません。収入が立っていないこと、誰にも反応をもらえていないこと、仕事の区切りが自分で作れていないこと。この3つのどれかが原因になっていて、それが「在宅だからだ」という形で自分に返ってきていることのほうが多い、というのが今の私の実感です。
原因を取り違えると、働き方を変える方向に動いてしまいます。でも本当に手を入れるべき場所は別のところにあることがあります。だから、向き不向きの話をする前に、まず何がしんどいのかを分けて見たほうがいいと思っています。
私が「向いていないかもしれない」と思った瞬間
いちばん強くそう思ったのは、独立してからしばらく仕事が取れなかった時期です。毎日なにかしら試行錯誤はしていました。ココナラでコンサルをやったり、YouTubeをやったり、クラウドソーシングをやったり、思いつくものは一通りやりました。でも収入は増えず、アルバイトをしながら食いつないでいる状態が続きました。
そのときに頭に浮かんだのが「自分は在宅に向いていないんじゃないか」でした。家にいて、誰にも会わず、成果も出ない。この形が自分に合っていないのではないか、という考え方です。
ただ、あとから振り返ると、あのときしんどかったのは在宅であることではなく、仕事が取れていないことでした。同じ状態で外に出て働いていたとしても、たぶん同じくらいしんどかったと思います。むしろ通勤時間のぶんだけ余計に消耗したかもしれません。
「向いていない」という言葉は便利です。原因を1つにまとめてくれるので、考えるのが少し楽になります。でもその代わりに、本当の原因が見えなくなります。私はしばらくその状態でいました。
気持ちと事実を分けて書いてみる
私がやったのは、思っていることをそのまま書き出して、そのあとで「これは事実か、感じたことか」を分ける作業です。
- 収入が無い = 事実
- 反応が来ない = 事実
- 在宅が向いていない = 感じたこと
- 自分には無理かもしれない = 感じたこと
並べてみると、事実のほうは対処のしようがあります。収入が無いなら、どこから取るかを考えられます。反応が無いなら、何を出しているかを見直せます。一方で「向いていない」は、そのままでは何もできません。行動に変換できない言葉です。
だから、しんどくなったときはまず事実のほうだけを取り出すようにしています。感じたことを否定するわけではありません。ただ、そこから先に進むには事実のほうを触るしかない、というだけの話です。
在宅がつらいのか、仕事の状況がつらいのかを分ける
この2つは、体感としてはほとんど同じ形でやってきます。どちらも「朝起きたときに気が重い」という形になります。だから区別が難しいのですが、いくつか見分ける手がかりはあると思っています。
仕事の状況が原因のとき
収入や案件の状況が改善したときに、気持ちが軽くなるかどうかで判断できます。
私の場合、引き継いだクライアントの案件をコンセプトから作り直したことがあります。それが最近になって伸びました。素直にうれしかったですし、クライアントも驚いていました。正直、自分でも驚きました。
そのとき、働く場所は何ひとつ変わっていません。同じ家の同じ机で作業していました。それでも気持ちはまったく違いました。環境が同じままで気分が変わるなら、原因は環境ではありません。
ちなみにこの案件は、伸びるまで手応えが一切ありませんでした。やっている最中は、効いているのかどうか分からないままでした。手応えが無い時期がしばらく続いたあとで、急に来ました。だから今も、反応が無い期間をすぐ失敗とは思わないようにしています。
在宅という形そのものが原因のとき
こちらは、収入や案件が良くなっても消えない種類のしんどさです。人と話す機会が減ること、生活の区切りが無くなること、一日の終わりが決まらないこと。このあたりは、仕事がうまくいっていても残ります。
ただ、私の実感として言えるのは、この種類のしんどさは働き方を変えなくても減らせるものが多いということです。区切りを自分で作る、外に出る用事を意図的に入れる、人と話す時間を予定に入れる。そういう対処ができます。
一方で、収入が立っていないことは、対処ではなく解決が必要です。順番としては、そちらのほうが先だと思います。
前職と比べてみると分かること

私は飲食の現場に10年いました。辞めようと思ったのは、変わらない日常のまま今後もこれが続くのか、と考えた瞬間でした。労働時間が長くて体力的に辛い仕事を、この先ずっと続けるのは嫌だと思いました。
当時は昼に出勤して真夜中に退勤する生活でした。休みの日は体力が残らず、休みでも何もできずに終わりました。休憩時間もほとんど取れませんでした。だんだん毎日が楽しくなくなってきました。
料理そのものは好きでした。きつかったのは仕事の中身ではなく、労働時間のほうです。ここは自分の中でもはっきりしています。
この経験があるので、在宅がしんどいと感じたときに一度比べるようにしています。今のしんどさは、あのときのしんどさと同じ種類のものか。比べてみると、たいてい違います。あのときは時間そのものが奪われていました。今は時間はあります。あるうえで、収入と反応が足りていない状態です。
種類が違うということは、対処の方法も違うということです。あのときの答えは「辞める」でしたが、今のしんどさに対して同じ答えを当てても、たぶん解決しません。
辞めたことは後悔していない
ちなみに、辞めるとき社長には電話で伝えました。そのあとに話し合いの場が持たれて、「もったいない」「やめないでほしい」と引き止められました。最終日は特別なことは何も起きず、スタッフに挨拶をして普通に終わりました。後日お別れ会みたいなものを開いてもらって、普通に楽しかったです。嫌いで辞めたわけではありません。
今も、フリーランスはメンタルが不安定になりやすいですし、将来も不安です。それでも、好きなことを好きな時間にやれている今の環境は、辞めてよかったと今になって思えます。この2つは両立します。不安があることと、選択が間違っていたことは別です。
「誰にも見られていない」がいちばんきつい
在宅で働くことの本当のしんどさは、孤独よりも反応が返ってこないことのほうにあると思っています。これは自分の発信で強く実感しました。
私はThreadsに毎日5本、自動で投稿する仕組みを作りました。2026年6月25日から7月27日までの間に87本を自動投稿しました。その間、フォロワーは0人のままでした。
7月27日時点で数えたとき、7月のビューは527、いいね7、返信0、リポスト0でした。返信は一度も来ませんでした。週ごとの平均ビューも右肩下がりで、18.2、15.9、8.4、7.9、5.0と落ちていきました。68本のうち13本は、ビューが0か1のままでした。
数字だけ見れば、ただの結果です。でも実際にやっていると、これが毎日続きます。誰にも見られていない状況が続くのは、単純にきついというのが正直なところです。仕組みは動いている、投稿も出ている、それでも何も返ってこない。
このときに分かったのは、自動投稿は「続ける力」はくれるけれど「届く力」は別物だということでした。投稿の質を上げる前に、そもそも誰にも見られていないことのほうが問題でした。
反応が無い時期をどう扱うか
ここで役に立ったのが、さっき書いたクライアント案件の話です。あの案件も、伸びるまで手応えは一切ありませんでした。そして急に来ました。
だから今は、反応が無い期間をすぐ失敗とは判断しないようにしています。ただし、これは「ずっと待てばいい」という意味ではありません。私の場合、自分の発信については集客がうまくいっていないという事実は事実として認めています。方向を変える必要があるかもしれない、とも思っています。
大事なのは、反応が無いことを自分の適性の話にしないことだと思っています。「見られていない」は状況の話です。「向いていない」は自分の話です。前者は変えられますが、後者にしてしまうと動けなくなります。
手を動かす場所を1つに絞る

私がやりがちだったのは、しんどくなると全部を同時に見直そうとすることでした。発信も、営業も、仕組みも、単価も、全部いっぺんに。結果として何も進みませんでした。
今は、確かめる順番を決めています。
- 1. 収入が立っているか。立っていないなら、まずそこ。
- 2. 見られているか。届いていないなら、質より前に到達を見る。
- 3. 生活の区切りがあるか。無いなら作る。
- 4. そのうえで、それでも在宅が合わないと感じるか。
4番まで来て初めて、働き方そのものの話になります。私はまだ4番まで来たことがありません。だいたい1番か2番で止まっていて、そこを触ると気持ちのほうも動きます。
ちなみに私は今でも、自社の収益が立っていないことが不安です。業務委託の仕事は量が多くて大変なわりに利益は低いですし、AIを使った仕事に可能性は感じていても、収益が立っていないので方向性が合っているのか分からなくなります。自動化を作っているのに、結局そのつど自分の手を動かしてしまっている、という矛盾も抱えています。
それでも、これらは全部「在宅だから」ではありません。場所を変えても同じように残る問題です。どこにいても残る問題を、場所のせいにしないこと。これが、私が今いちばん気をつけていることです。
自動化は孤独を埋めてくれない、という話
ひとつだけ、期待しすぎて外したことも書いておきます。
私は営業が苦手です。テキストでのやり取りが昔から苦手で、今でも苦手なままです。初対面の相手とオンラインで話すと、人見知りと自信のなさが前面に出てしまいます。自分でも分かっています。正直、その時間が本当に嫌です。金額を出すときも、自信がないから自分から下げてしまっていました。
だから、その苦手を埋めるために自動化を作り始めました。投稿を自動で出す仕組みを作れば、自分が動かなくても人が来るのではないか、と思っていたところがあります。
実際には、仕組みは動きました。ThreadsもXも同じ時間に1日5本、自動で投稿が出ています。毎朝AIが投稿文をまとめて生成してドライブに保存し、投稿スクリプトがそれを読んで投げる形です。失敗したらDiscordに通知が飛びます。ここまでは想定どおりでした。
でも、動いたのは仕組みだけでした。作業は減りましたが、届いていない状態は変わりませんでした。むしろ、自動で出続けているぶん「毎日ちゃんとやっているのに反応が無い」という形になって、余計にはっきり見えるようになりました。
自動化は、手を止めないための道具としてはよく効きます。でも、人とつながる部分は代わってくれません。ここは分けて考えたほうがいいと思っています。仕組みで解決できることと、できないことがあります。
そのうえで、続いていることの意味
ただ、続いてはいます。87本という数は、手作業だったらたぶん出せていません。反応が無い状態で毎日手で投稿するのは、私には無理でした。
そして分かったこともありました。スロット別に見ると、朝の投稿がいちばん見られていました。抽象的な問いかけだけの投稿より、具体的なしくじりを書いた投稿のほうが見られていました。これは続けていなければ分からなかったことです。
反応が無い期間にも、データは溜まります。それを見て次を決められるなら、その期間は無駄ではありません。気持ちの上ではきついですが、材料は増えています。そう思うようにしています。
それでも合わないと感じるなら

ここまで「たいてい原因は別のところにある」と書いてきましたが、本当に在宅という形が合わない人もいると思います。それは適性の問題であって、良し悪しではありません。
その場合でも、いきなり全部を戻す必要はないと思っています。フリーランスの働き方は、在宅か出社かの2択ではありません。仕事を受ける相手を変える、稼働の形を変える、人と会う仕事の比率を上げる。調整できるところはいくつもあります。
私自身、今やっている業務委託の仕事は、やっていること自体は会社員と変わらないと思っています。働く場所が違うのと、出社が無いだけです。それでも自分にとっては、この形のほうが合っています。前職のように時間を丸ごと持っていかれることがないからです。
逆に言えば、自分にとって何が耐えられなかったのかが分かっていれば、そこを避ける形を選べます。私にとってそれは労働時間でした。人によっては、それが孤独かもしれませんし、収入の不安定さかもしれません。
向き不向きを考えるときに大事なのは、「在宅が合うか」という大きな問いではなく、「自分は何が耐えられないのか」という小さい問いのほうだと思っています。前者は答えが出ませんが、後者は自分の経験から答えが出ます。
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まとめ
在宅で働いていて「向いていないかもしれない」と思ったときに、私が確かめるようにしていることをまとめます。
- 思っていることを書き出して、事実と感じたことを分ける。行動に変えられるのは事実のほうだけ。
- 収入や案件の状況が変わったときに気分が変わるなら、原因は環境ではない。
- 反応が無い期間を、自分の適性の話にしない。「見られていない」は状況、「向いていない」は自分。
- 確かめる順番を決める。収入、到達、生活の区切り、そのうえで働き方。
- 自動化は手を止めない役には立つが、届く力や人とのつながりは代わってくれない。
- それでも合わないなら、在宅か出社かの2択ではなく、調整できる部分から変える。
私はまだ、自社の収益が立っていません。発信の集客もうまくいっていません。だから偉そうなことは言えないのですが、少なくとも「在宅が向いていないからだ」で片付けてしまうと、そこで手が止まることだけは分かりました。
しんどさの原因を正しい場所に置き直すだけで、次にやることが見えてきます。それは働き方を変えることかもしれないし、収入の作り方を変えることかもしれません。どちらにしても、まずは分けるところからだと思っています。
もし今、収入が立たないことがいちばんの原因になっているなら、仕事の入り口を増やすところから見直すのがいいかもしれません。私が最初の案件をもらったのもクラウドソーシングでしたし、案件の量や単価の相場を知るという意味でも、フリーランス向けのエージェントに登録して話を聞いてみるのは一つの手だと思います。登録して条件を見るだけでも、今の自分の位置が分かります。


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