独立してから今日までで、いちばん時間を返してくれた判断は「新しく何かを始めたこと」ではなく、「やっていたことをやめたこと」でした。私は元調理師で、飲食の現場に10年いたあとにSNS運用代行のフリーランスとして独立しました。独立してから半年は無収入、そのあとの半年も収入は一桁万円台で、その間はアルバイトをしながら食いつないでいました。仕事が取れないので、思いつくものは一通り手を出しました。結果として残ったのは、驚くほど少ない数の行動だけです。
この記事では、私が実際にやめたこと、いま続けていること、そして「これは残す」と決めるときに使っている基準を書きます。成功談ではありません。2026年8月の時点で、私はまだ自社の収益が立っていないし、自分の発信の集客もうまくいっていません。それでも、手を広げすぎた時期と絞ったあとの時期を両方通ったので、その差だけは正直に書けます。
先に結論:残す基準は「一人でも回るか」と「記録が残るか」
絞り込みの基準は最終的に2つになりました。自分ひとりの判断で回せるかと、やった結果が数字か記録として残るかです。この2つを満たさないものは、どれだけ将来性がありそうでもいったん手放しました。
逆に言うと、私がやめたものはほぼ全部このどちらかを欠いていました。相手の返信を待たないと次に進めないもの。やってもやらなくても結果の差が分からないもの。この2種類が、独立初期に私の時間をいちばん食っていました。
この基準は最初から持っていたわけではありません。無収入の半年とその後の半年、毎日なにかしら試行錯誤して、消去法で残ったのがこれでした。だから「こうすべき」ではなく「私の場合こう落ち着いた」という話として読んでください。
なぜ「一人で回るか」が基準になったか
私は営業が苦手です。テキストでのやり取りが昔から苦手で、今でも苦手なままです。初対面の相手とオンラインで話すと、人見知りと自信のなさが前面に出てしまう。自分でも分かっています。正直、その時間が本当に嫌でした。
金額を出すときも、自信がないから自分から下げてしまっていました。提案資料を見てもらえたことはありましたが、そのあとの連絡は一切来ませんでした。こちらからリマインドする勇気がなくて、そのまま終わりました。相手の反応が必要な行動は、私の場合ほぼ全部そこで止まるのだと、何度か繰り返して分かりました。
だから「相手の返事を待たないと1ミリも進まない仕事」を軸に置くのをやめました。苦手を克服する方向ではなく、苦手が発動しない設計に寄せる方向を選んだ、ということです。これは強さではなく、単に自分の弱点への対処です。
やめたこと1:思いついたものを片っ端から試すこと
独立してから最初の1年、私はココナラでコンサルをやったり、YouTubeをやったり、クラウドソーシングをやったり、思いつくものは一通りやりました。仕事が取れないので、毎日なにかしら試行錯誤していたという状態です。
この時期の行動自体を否定するつもりはありません。実際、独立して最初の仕事はクラウドソーシングでもらった動画編集の案件でしたし、ココナラではコンサルの案件を10件ほどもらいました。時給に換算すると安かったけれど、実績にはなりました。動かなければゼロのままだったので、動いたこと自体は良かったと思っています。
ただ、同時に走らせすぎたせいで、どれが効いたのかが最後まで分からなかったのが問題でした。3つの入口を同時に開けていると、1件来たときにどこから来たのかは分かっても、なぜ来たのかは分かりません。次に何を強めればいいのかが決められない。
数字で見ると、単価も動きもバラバラだった
独立初期の編集案件は1本4,000円から10,000円くらいで、動画の尺によって金額が変わりました。コンサルは1本3,000円。動いている金額の桁も、かかる時間も、必要な準備もバラバラです。この状態で同時に3つ回すと、一日の中で頭の切り替えだけで消耗します。
初めて報酬を受け取ったとき、うれしさより先に「これで生きていける気がしない」と思いました。だからあがいて、毎日いろいろ試した。順番としては自然だったと思います。ただ、あがき方に整理がなかった。
いまなら、同時に走らせるのは2つまでにして、片方は「収入のための仕事」、もう片方は「検証のための仕事」と役割を分けます。全部を収入源として期待すると、どれも中途半端になるからです。
やめたこと2:手応えが無いことを理由にすぐ切ること

これは「やめたこと」の中で唯一、逆向きの話です。反応が無い期間を、すぐ失敗と判断するのをやめました。
きっかけは、引き継いだクライアントの案件をコンセプトから作り直したときのことです。それが最近になって伸びました。素直にうれしかったし、クライアントも驚いていました。正直、自分でも驚きました。
大事なのは、伸びるまで手応えは一切なかったということです。やっている最中は、効いているのかどうか分からないままでした。手応えが無い時期がしばらく続いたあとで、急に来た。もしその途中で「効いていないから変えよう」と判断していたら、あの結果は見られていません。
ただし「切らない」と「放置する」は別
とはいえ、何も測らずに続けるのは放置です。私の場合、自分の発信については週次・月次で自動集計してDiscordにレポートが飛ぶようにしています。数字が動いていないこと自体は受け入れるけれど、動いていないという事実からは目を逸らさない、という置き方です。
実際、その数字はかなり厳しいです。2026年6月25日から7月27日までに87本を自動投稿して、その間フォロワーは0人のままでした。7月27日時点で数えたとき、7月のビューは527、いいね7、返信0、リポスト0。返信は一度も来ていません。
それでも続けているのは、クライアント案件で「手応えゼロのあとに来る」を一度実際に見たからです。ただし後述するとおり、続ける対象そのものは見直しています。
やめたこと3:自分から金額を下げること
これは今も完全に直ったとは言えませんが、意識してやめようとしていることです。自信がないから自分から下げる、という癖がありました。
下げると、その金額が次の基準になります。安く受けた分だけ本数をこなす必要が出て、時間が減り、時間が減ると新しいことを試す余力がなくなる。ここは想像ではなく、独立初期に実際に起きたことです。
いまやっている業務委託の仕事も、仕事量が多くて大変なわりに利益は低いという状態です。金額の話から逃げると、逃げた分がそのまま自分の時間で払われる。それだけは確かだと思っています。
営業をやめたのではなく、営業の形を変えた
誤解のないように書くと、私は「営業をやめた」のではありません。オンラインで初対面の相手と話す形式が自分に合わなかったので、その比重を下げただけです。代わりに増やしたのが、記録を出しておく形の発信でした。
これも成功しているとは言えません。noteは2026年7月27日時点で記事27本、フォロワー2人、全記事の合計いいねは45です。数字としては小さい。ただ、この形なら私は続けられるし、続けたぶんは記事として残ります。残るかどうかは、私にとって大きな違いでした。
続けていること1:毎日決まった時間に出す仕組み
いま続けているものの中心は、投稿の自動化です。2026年6月に組み始めて、まだ2ヶ月ほどしか経っていません。
Threadsは1日5本、7時・12時・17時・21時・23時に全自動で投稿しています。Windowsのタスクスケジューラーと、Pythonと、APIを直接叩く構成で組みました。Xも同じ時間に1日5本、同じ作りで自動投稿していて、こちらは2026年8月4日に動かし始めたところです。
毎朝6時台にAIが投稿文をまとめて生成し、Googleドライブにテキストで保存します。投稿スクリプトはそれを読んで投げるだけ。投稿が失敗したらログに残り、Discordに通知が飛び、次にPCを開いたときにも報告が上がるようにしてあります。
付随して動かしているもの
- noteの新着はRSSで拾って、月水金に自動で告知。Xでは本文にURLを置かず、投稿にぶら下げる返信に貼っています。
- 週次・月次で自分の投稿を自動集計して、Discordにレポートが飛ぶようにしています。
- Threadsの認証トークンは60日で切れるので、毎月1日に自動で延長する仕組みを入れました。
費用は、XのAPI利用料が1日5本の投稿で月350円ほど。ThreadsのAPIは無料で、タスクスケジューラーはWindows標準機能なので0円です。金額としては小さいので、続けるかどうかの判断にコストはあまり関係していません。
なぜこれを残したか
基準に照らすと分かりやすくて、相手の返信がいらないし、やった結果が全部数字で残るからです。私が寝ていても出るし、出た結果は週次レポートで返ってきます。前述の2つの条件を両方満たしている、数少ないものでした。
続けていること2:うまくいっていない数字を、そのまま見ること
自動化を組んだおかげで、自分の発信の数字が毎週手元に来ます。そしてその数字は、正直きついです。
7月27日時点のスロット別の平均ビューは、朝15.7・昼5.7・夜1.8でした。朝がいちばん見られていた。週ごとの平均ビューは右肩下がりで、18.2 → 15.9 → 8.4 → 7.9 → 5.0。同じ時点で、68本のうち13本がビュー0か1でした。
2026年7月のThreadsは82本投稿して、合計ビュー582、いいね8、平均ビュー7.1。平均ビューが最も高かったのは朝の枠でした。ビューが0か1のままだった投稿は18本あります。
直近も似た形です。2026年8月4日までの7日間でThreadsに24本投稿して、合計ビュー120・いいね1・返信0。スロット別の平均ビューは朝6.0・昼6.6・夜2.4で、ビューが0か1のままだった投稿が8本ありました。
この数字から私が受け取ったこと
ここから分かったのは、自動投稿は「続ける力」はくれるが「届く力」は別物だったということです。本数は増えました。止まらなくもなりました。でも、届いてはいません。
もうひとつ、投稿の質を上げる前に、そもそも誰にも見られていないことのほうが問題だったという順番も見えました。文章を磨く話ではなく、見られる場所に立てているかどうかの話です。
唯一の手がかりとしては、抽象的な問いかけだけの投稿より、具体的なしくじりを書いた投稿のほうが見られていました。これは大きな傾向として言えることではなく、私の手元の範囲での話です。
誰にも見られていない状況が続くのは、単純にきついです。それでも数字を見るのをやめないのは、見るのをやめた瞬間に「なんとなく続けている」に変わってしまうからです。続けるかどうかを判断するために見ています。
続けていること3:壊れたところを、壊れたまま放置しない

自動化を2ヶ月やって分かったのは、仕組みは思っているより静かに壊れるということです。しかも、エラーが表に出ない失敗がいちばんこわい。
2026年7月3日から5日まで、Threadsの投稿が1本も出ていませんでした。原因は早朝にPCがスリープしていて、6時の生成スクリプトが走れなかったことです。7月14日にも投稿が3件失敗していて、こちらはPCが落ちていたことが原因でした。
note告知が一度も投稿されていない時期もありました。原因は、告知文をスプレッドシートにだけ書き込んで、投稿スクリプトが読むドライブ側のファイルを更新していなかったことです。書いたつもりで、読まれる場所には無かった。
気づくのに時間がかかったもの
- 認証トークンのファイルにBOMが混ざっていて、投稿が丸ごと止まったことがあります。見た目は何も変わらないので、原因の特定に時間がかかりました。
- トークンのファイルを全行つなげて読んでしまい、認証エラーになったこともあります。実際に必要だったのは1行目だけでした。
- 日付を整える処理で、パソコンによって使える書き方と使えない書き方があるのを知らずに書いて、機能がまるごと無言でスキップされていました。
いちばん効いたのは2026年8月4日の失敗です。Xの自動投稿を組んで、タスクは全部「準備完了」と表示されていたのに、実際は一度も動いていませんでした。原因は登録スクリプトで変数名にPowerShellの予約語を使っていて、タスクに渡す引数が丸ごと空になっていたこと。エラーもログも残らないので、気づくのに時間がかかりました。
それ以来、タスクを登録したあとは「準備完了」の表示だけで安心せず、渡している引数が空になっていないか毎回確かめるようにしています。これは続けていることのひとつです。
同じ日に、XのAPIキーを取りに行ったら画面には下6桁しか表示されず、完全な値を見る方法がありませんでした。結局いったん作り直すしかなかった。しかもキーを作り直す順番を間違えると、後から作ったほうが無効になります。親のキーを先に作り直してから、その下のキーを作り直す必要がありました。
Threadsの認証トークンも、あと10日で切れるところでした。切れたら投稿が全部止まります。気づいたその日に延長して、ついでに毎月自動で延長する仕組みにしました。気づいたときに、その場で仕組みに変えておく。これが今のところ、いちばん再発を減らしています。
続けていること4:AIに嘘を書かせないための決まりごと
AIを本格的に使い始めたのは独立してからです。最初に触ったのはChatGPTで、きっかけはYouTubeで動画を見たこと。それで自分でも触ってみました。最初にやらせたのは、当時やっていたコンサル業務です。当時は精度があまり高くなくて、期待していたほどではありませんでした。今は毎日使っていますが、最初からうまく使えていたわけではありません。
投稿文をAIに書かせていたら、実際とは違う数字を書いてきたことがあります。本当は68本なのに62本と書いていて、しかも文章としては自然だから、読んでも気づけません。間違いが自然な日本語の顔をして出てくるのがいちばん厄介でした。
対策として、実際に起きたことと実測値だけを書いた台帳を作り、そこに載っている数字しか使わせないようにしました。ところが、台帳を足しただけでは直りませんでした。前から書いてあった「毎回、具体的な出来事を必ず入れる」という指示と噛み合わず、台帳のネタが尽きるとやっぱり作り話をしたからです。
「無ければ書かなくていい」と言い直して、やっと止まりました。資料を足すだけでは足りず、前からある指示と衝突していないかを見ないといけない。これは自動化全般に言えることだと、今は思っています。
いま迷っていること
正直に書くと、絞り込みが正解だったかはまだ分かりません。2026年8月の時点で、自社の収益はまだ立っていません。業務委託は仕事量が多くて大変なわりに利益は低い。AIを使った仕事に可能性は感じていますが、収益が立っていないので、方向性が合っているのか不安になります。
矛盾もあります。自動化を作っているのに、結局そのつど自分の手を動かしてしまっている。仕組みにしたはずの部分に、まだ人力が残っています。
フリーランスはメンタルが不安定になりやすいし、将来も不安です。それでも、好きなことを好きな時間にやれている今の環境は、辞めてよかったと今になって思えます。飲食を辞めようと思ったのは、変わらない日常のまま今後もこれが続くのか、と考えた瞬間でした。頑張っても変わらない、という事実がいちばん大きかった。いま数字は伸びていませんが、少なくとも「変えられる」状態にはいます。
直近では、2026年8月6日に自社サイト(7ページ)とLPの公開準備を終えました。問い合わせフォームをGoogleフォームにつなぎ、送信テストまで成功しています。あとはサーバーに置くだけです。届かない問題への次の一手として置いたもので、結果はまだ何も出ていません。
これから見直そうと思っていること

数字を見ている以上、続けているものにも手は入れます。今のところ考えているのは次の3点です。
- 夜の枠。7月時点で夜の平均ビューは1.8、直近の週でも2.4です。朝との差がはっきりしているので、本数配分を見直す対象になります。
- ビューが0か1のまま終わる投稿。7月は82本中18本、直近の週は24本中8本です。割合としては増えていて、本数を出すこと自体が効いていない可能性があります。
- 届く経路そのもの。投稿を磨く前に、見られる場所に立てているかどうか。ここが解けない限り、本数を増やしても同じ結果になると思っています。
ただし、クライアント案件で「手応えゼロが続いたあとに急に来る」を実際に見ているので、判断は急ぎません。切るときは数字を見て切る、続けるときも数字を見て続ける。それだけは変えないつもりです。
まとめ
- 残す基準は2つ。相手の返信を待たずに一人で回せるか、やった結果が数字か記録として残るか。この両方を満たさないものは手放した。
- やめたのは、思いつくものを同時に片っ端から試すこと。何が効いたか分からなくなり、次の一手が決められなくなった。
- やめたのは、自分から金額を下げること。下げた分は自分の時間で払うことになった。
- 逆にやめなかったのは、反応が無い期間をすぐ失敗と決めつけること。引き継いだ案件は手応えゼロのまま進み、あとから急に伸びた。
- 続けているのは、Threads・Xそれぞれ1日5本の全自動投稿と、週次月次の自動集計。費用はXのAPIが月350円ほど、Threadsは無料。
- 数字は厳しい。6月25日〜7月27日で87本投稿してフォロワーは0人、7月のビュー527・いいね7・返信0。8月4日までの週は24本でビュー120・いいね1。
- そこから分かったのは、自動投稿は「続ける力」はくれるが「届く力」は別物だということ。質を上げる前に、見られていないことのほうが問題だった。
- 仕組みは静かに壊れる。「準備完了」表示でも一度も動いていなかったこと、BOM混入、無言のスキップ。エラーが出ない失敗がいちばんこわい。
- AIは自然な文章のまま数字を間違える。台帳を足すだけでは直らず、前からある指示と衝突を解いてやっと止まった。
- 2026年8月時点で自社の収益はまだ立っていない。絞り込みが正解だったかは分からないが、判断は数字を見て続ける。


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