結論から書きます。無料カウンセリングは「試験」ではなく「相談」でした。向こうから聞かれることはだいたい決まっていて、事前に自分の答えを持っていけば、その場の勢いで決めてしまうことはかなり減ります。逆に、答えを持たずに行くと、こちらが何も判断できないまま「じゃあ次はいつまでに」という話に進んでいきます。私は後者でした。
この記事では、無料カウンセリングで何を聞かれるのか、こちらから何を聞いておくべきだったのか、そして受けてから申し込むまでに何を考えればよかったのかを書きます。断り方についても触れます。
書いているのは「さとり」といいます。もともと調理師で、飲食の現場に10年いました。そこから動画編集のスクールに入って独立し、いまはSNS運用代行のフリーランスをしています。スクールは約70万円、期間は6ヶ月でした。独立してから半年は無収入、そのあとの半年も収入は一桁万円台で、アルバイトをしながら食いつないでいました。つまり私は「カウンセリングを受けて、申し込んで、その後けっこう苦労した側」の人間です。うまくいった自慢話ではないので、そのつもりで読んでください。
無料カウンセリングは何をする場なのか
名前のとおり、費用はかかりません。オンラインで担当の方と話す形式が一般的です(2026年8月時点の目安です。形式や所要時間はスクールによって違うので、最新は各社の公式ページで確認してください)。
やることは大きく分けて3つでした。
- こちらの状況を聞かれる(今なにをしていて、なぜ動画編集なのか)
- スクールの説明を受ける(カリキュラム、期間、サポート内容)
- 費用と支払い方法の話になる
順番はこの流れが多いです。最初に費用の話から入るところは、私の知る限りありませんでした。まずこちらの話を聞いて、それに合わせて説明が組み立てられていく形です。
ここで大事なのは、最初の「こちらの状況を聞かれる」パートが、そのあと全部に効いてくるということです。ここで曖昧な答えをすると、説明も曖昧なまま進みます。そして曖昧なまま費用の話に着地します。私がそうでした。
聞かれたこと1|今なにをしていて、なぜ動画編集なのか
最初に来るのはここです。今の仕事、働き方、どうして動画編集に興味を持ったのか。
私は当時、飲食の現場にいました。昼に出勤して真夜中に退勤する生活で、休みの日は体力が残らず、何もできないまま終わっていました。休憩時間もほとんど取れませんでした。だんだん毎日が楽しくなくなってきていた時期です。だから答えとしては「今の働き方を変えたい」でした。
これは嘘ではありません。ただ、いま振り返ると「変えたい」までしか用意していなかったのが問題でした。どう変えたいのか、変えた先で月にいくら必要なのか、そこまでは考えていませんでした。
この質問には、できれば次の3つをセットで答えられる状態で行ったほうがいいです。
- 今の状況(労働時間、収入、辞める予定があるかどうか)
- 変えたい方向(副業として足したいのか、独立したいのか)
- いつまでに、いくら欲しいのか
3つ目が特に効きます。これがあると、後の費用の話が「70万円は高いか安いか」という感想の話ではなくなり、「その金額を何ヶ月で回収する想定か」という計算の話になります。私は当時この計算をしていませんでした。独立初期にもらっていた編集案件は1本4,000円から10,000円で、動画の尺によって金額が変わっていました。つまり70万円は70本から175本ぶんです。払う前にこの割り算をしていませんでした。これがいちばんの反省です。
聞かれたこと2|どれくらい時間を使えるか

次に来るのが、学習に使える時間です。平日に何時間、休日に何時間。ここは正直に答えたほうがいいです。盛っても自分が苦しくなるだけだからです。
私はここでも甘い見積もりをしていました。飲食の現場にいたころは、休みの日に体力が残っていませんでした。休みでも何もできずに終わる日が普通にありました。それが分かっていたのに、カウンセリングの場では「休みの日にまとめてやります」と答えていました。実際にやってみると、体力が残っていない日は本当に何もできません。
だから、この質問に答えるときの目安として私が今なら使うのは、「先週、実際に自由に使えた時間」です。これからの意気込みではなく、直近の実績で答える。そうすると、たいてい自分が思っていたより少ない数字が出ます。その少ないほうの数字で組めるカリキュラムかどうかを、その場で確認したほうがいいです。
聞かれたこと3|PCとソフトの環境
これは事務的な確認です。使っているパソコンのスペック、編集ソフトを持っているかどうか。動画編集はマシンにそれなりの負荷がかかるので、ここは実際に確認されます。
私はいま自作のデスクトップを使っていて、モニターは4枚あります。メインがMSI、サブがASUSです。ただ、これは今の話で、スクールに入った当時からこの環境だったわけではありません。ここは背伸びして揃える必要はないと思っています。むしろ、今の環境で足りるのか、足りないなら追加でいくらかかるのかを、カウンセリングの場で聞いておくべきです。
費用の話をするときに、スクール代だけで計算していると後でずれます。ソフトの月額や、機材の買い替えが乗ってくる可能性があるからです。私はここも計算に入れていませんでした。
聞かれたこと4|卒業後にどうしたいか
「副業で月5万円くらい」なのか「独立したい」なのか。ここを聞かれます。そして、答えによってその後の説明の内容が変わります。
私は「独立したい」と答えました。実際に独立しました。ただ、独立してから半年は無収入でした。そのあとの半年も収入は一桁万円台でした。その間はアルバイトをしながら食いつないでいました。
これを書いているのは、スクールが悪かったという話をしたいからではありません。「卒業後にどうしたいか」の答えと、「その状態になるまでの無収入期間をどう食いつなぐか」は、別々に用意しておく必要があるという話です。カウンセリングで聞かれるのは前者だけです。後者は誰も聞いてくれません。でも実際に効いてくるのは後者のほうでした。
私の場合、収入が無いまま費用だけが出ていく時期がありました。スクール代を払った時点から、収入が立つまでの間ずっとです。この期間の生活費をどうするかを、私は申し込む前に決めていませんでした。結果としてアルバイトで埋めましたが、それは計画ではなく後追いの対処でした。
こちらから聞いておけばよかったこと

カウンセリングは向こうが質問する場だと思い込んでいると、こちらから聞かないまま終わります。私は聞けませんでした。人と話すのが得意ではなく、初対面の相手とオンラインで話すと人見知りと自信のなさが前に出てしまうのは、自分でも分かっています。正直、その時間が苦手です。
だからこそ、聞くことを紙に書いて用意していくべきでした。その場で思いつくのは無理だからです。今なら次のことを聞きます。
- 1. サポート期間が終わったあと、教材や質問はどうなるのか
- 2. 案件紹介があるとしたら、その紹介はどういう形なのか(保証なのか、機会の提供なのか)
- 3. 途中で通えなくなったときに、期間の延長や休止ができるのか
- 4. 分割払いにした場合、支払い総額がいくらになるのか
- 5. 卒業生が実際にどのくらいの単価の仕事を取っているのか
5番目は特に大事だと思っています。私の実感として、独立初期の編集案件は1本4,000円から10,000円でした。この数字を知っていれば、70万円という金額が自分にとって何を意味するのかを、その場で計算できたはずです。数字を聞いても答えにくそうであれば、それも判断材料になります。
ちなみに、これは私が通ったスクールの話ではなく、2026年8月時点で見かける範囲の話ですが、動画編集の講座には8万円から10万円くらいの価格帯のものもあります(価格は変動しますので、最新は公式で確認してください)。私が払ったのは約70万円でした。同じ「動画編集を学ぶ」でも、価格帯には幅があります。カウンセリングを1社だけ受けて決めると、この幅が見えないまま判断することになります。
費用の話になったときにどうするか
ここが本番です。そして、ここで即決しないことが、たぶん一番大事です。
私は金額の話が苦手です。フリーランスになってからも、自分の見積もりを出すときに、自信がないから自分から金額を下げてしまっていました。相手に金額を提示される側でも、その場の空気に押されます。「今なら」という話が出ると、なおさらです。
実際、私は自分のサービスのLPを書き換えたときに、キャンペーンの期限が数ヶ月前のまま失効していたのを見つけたことがあります。料金の説明に使っていた金額が、どのプランとも一致していないのも見つけました。自分でやっていてこうです。だから、提示された条件が本当にその日限りなのかどうかは、確認していいと思っています。聞いて機嫌を損ねるような相手なら、その時点で分かることがあります。
その場で決めないための言い方は、シンプルで大丈夫でした。
- 「持ち帰って検討します」
- 「他も見てから決めたいので、いったん保留にさせてください」
- 「支払い計画を立ててから返事します」
断り方に凝る必要はありません。むしろ、凝った理由をつけようとすると、こちらの言葉数が増えて、そのぶん相手に返す余地を渡すことになります。短く言って、そのまま終わる。私はこれができずに、曖昧な返事をしたまま話を進めてしまうタイプでした。
それから、連絡が来なくなることを怖がらなくていいです。私は営業する側として、提案資料を見てもらえたのに、そのあと連絡が一切来なかった経験があります。こちらからリマインドする勇気がなくて、そのまま終わりました。連絡が途切れることは、普通に起きます。カウンセリングを断ったからといって、何かが壊れるわけではありません。
受けてから申し込むまでに、実際にやったほうがいいこと
カウンセリングが終わってから申し込むまでの間に、やっておくといいことを3つ書きます。私がやらなかったことです。
1つ目は、金額を「本数」に置き換えることです。スクール代を、自分が想定している単価で割ります。私の場合は70万円を、1本4,000円から10,000円で割って、70本から175本でした。この本数を、自分が使える時間で割ると、何ヶ月かかるかが出ます。感覚ではなく数字で出ます。この計算をしていれば、判断は変わったかもしれませんし、変わらなかったかもしれません。ただ、少なくとも知らないまま払うことにはならなかったはずです。
2つ目は、無収入期間の生活費を先に決めることです。私は独立後、半年は無収入でした。そのあとの半年も一桁万円台でした。この期間を何で埋めるのかを、申し込む前に決めておくべきでした。アルバイトを続けるのか、貯金を取り崩すのか、副業として並行するのか。ここが決まっていないと、学習中に「早く稼がないと」という焦りが乗ってきます。焦った状態で受ける仕事は、たいてい安く受けることになります。
3つ目は、少なくとももう1社受けることです。比較対象がないと、提示された条件が高いのか安いのか、判断のしようがありません。1社目で決めたくなる気持ちは分かります。話を聞いて納得しているからです。でもその納得は、比較していない状態での納得です。
あと、家族に相談するかどうかは人によります。私は飲食の仕事を辞めるとき、家族に相談しませんでした。自分で決めました。それを後悔しているわけではありませんが、金額が大きい話なので、相談したほうが冷静になれる人はいると思います。
それでも決めるときの判断軸

ここまで「即決するな」という話ばかり書いてきたので、逆側も書きます。
私は結果として約70万円を払い、6ヶ月通い、そのあと苦労しました。でも、辞めてよかったとは今でも思っています。飲食の仕事を辞めようと思ったのは、変わらない日常のまま今後もこれが続くのか、と考えた瞬間でした。労働時間が長くて体力的に辛い仕事を、この先ずっと続けるのは嫌でした。頑張っても変わらない、という事実がありました。それがいちばん大きかったです。
料理そのものは好きでした。きつかったのは仕事の中身ではなく、労働時間のほうです。辞めると決めたとき、社長には電話で伝えました。そのあと話し合いの場が持たれて「もったいない」「やめないでほしい」と引き止められました。最終日は特別なことは何も起きず、スタッフに挨拶をして普通に終わりました。後日お別れ会みたいなものを開いてもらって、普通に楽しかったです。嫌いで辞めたわけではありません。
今はフリーランスで、メンタルは不安定になりやすいですし、将来も不安です。それでも、好きなことを好きな時間にやれている今の環境は、辞めてよかったと今になって思えます。
つまり、「払う価値があったか」と「払い方が正しかったか」は別の話だということです。私は前者にはイエスと答えます。後者にはノーです。カウンセリングを受けてから申し込むまでの間に、計算をしていませんでした。そこだけが今も引っかかっています。
だから判断軸としては、こう考えています。
- 1. その金額を、回収するまでの期間として説明できるか
- 2. 回収するまでの間、生活が成り立つ算段があるか
- 3. 比較したうえで、その1社を選ぶ理由が言えるか
この3つに答えられるなら、決めていいと思います。答えられないなら、それは「まだ情報が足りない」のであって、「向いていない」わけではありません。
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まとめ
無料カウンセリングで聞かれることは、だいたい決まっています。今なにをしているか、なぜ動画編集なのか、時間はどれくらい使えるか、環境はどうか、卒業後にどうしたいか。この5つに自分の答えを持っていけば、その場で判断を人に預けなくて済みます。
逆に、こちらから聞くべきことは、聞くと決めて紙に書いていかないと聞けません。私は人見知りで、初対面の相手とオンラインで話すのが苦手なので、その場の判断で質問を思いつくのは無理でした。用意していく前提で考えたほうが、たぶんうまくいきます。
そして、受けてから申し込むまでの間に、金額を本数に置き換える計算だけはやってください。私はやりませんでした。約70万円は、独立初期の私の単価で言えば70本から175本ぶんでした。この数字を知っていたかどうかで、少なくとも心構えは変わっていたと思います。
カウンセリングは無料です。受けたからといって申し込む義務はありません。断るのも短い一言で足ります。まずは話を聞いて、そのあとに自分で計算する。その順番を守れば、無料カウンセリングは十分に使える場だと思っています。
もし今、どのスクールから話を聞くか迷っているなら、まずは複数社の無料カウンセリングを予約して、同じ質問を全部に投げてみてください。同じ質問への答え方の違いが、いちばん分かりやすい比較材料になります。


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