動画編集を始めようとすると、必ずぶつかるのがこの疑問です。Premiere Proの使い方は、独学で覚えられるのか。それともスクールに行くべきなのか。
私は6ヶ月・約70万円のスクールに通いました。そのうえで正直に書きます。Premiere Proの操作そのものは、独学で十分に追いつけます。
ただし、それで「スクールは不要」という結論にはなりませんでした。この記事では、その理由を分けて説明します。
結論:操作は独学で足りる。足りないのは別の部分
先にまとめます。
| 覚えること | 独学で足りるか |
|---|---|
| カット・テロップ・BGMなどの基本操作 | ◎ 十分足りる |
| エフェクトや色調整 | ◎ 解説が豊富にある |
| 案件で求められる作り方の基準 | △ 独学では分かりにくい |
| クラウドソーシングでの営業のやり方 | △ 情報はあるが自己流になりやすい |
| 続ける環境・相談できる相手 | × 独学では作れない |
ソフトの操作は独学で足ります。詰まるのはその先です。
なぜPremiere Proは独学しやすいのか
利用者が多く、解説が大量にある
これが最大の理由です。Premiere Proは動画編集の案件で最も指定されることが多いソフトで、そのぶん使っている人も多い。結果として、無料の解説動画や記事が大量に存在します。
「テロップの入れ方」「書き出しの設定」といった具体的な操作は、検索すればほぼ答えが出てきます。私がスクールで習った操作内容も、探せば無料で見つかるものが多かったというのが正直な感想でした。
最初に必要な機能は4つだけ
案件に応募できるレベルまでなら、覚える範囲は限られています。
- 不要部分のカット
- テロップの挿入
- BGMと効果音
- 書き出し
この4つができれば、未経験向けの案件には応募できます。凝ったエフェクトは、必要になってから覚えれば間に合います。
手を動かせば覚える種類のもの
Premiere Proの操作は知識というより作業です。1本作れば大半は身につきます。座学で理解するタイプの分野ではありません。
では、スクールの価値はどこにあったか
私が6ヶ月通って、価値を感じたのは操作以外の部分でした。
1. 学ぶ順番が決まっている
独学の弱点は、何から手をつけるか分からないことです。解説が大量にあることは利点ですが、同時に「どれを見ればいいか」が分からなくなります。
カリキュラムがあると、この迷いが消えます。遠回りを減らせるという意味では、確かに時間を買っている面がありました。
2. 営業のやり方まで含まれていた
これは意外と大きかったです。私が受けたスクールでは、クラウドソーシングでの営業方法や、卒業後のロードマップまでカリキュラムに入っていました。
操作だけ覚えても案件は取れません。「どう仕事にするか」の部分は、独学では抜け落ちやすいところです。
3. 相談できる相手ができた
そして、私にとって一番価値があったのはここでした。
案件がまったく取れない時期に、同期が私の提案文を読んで問題点を指摘してくれました。営業のやり方はカリキュラムにも入っていましたが、自分の提案文を直してくれたのは教材ではなく人でした。
「知識として知っている」と「自分のケースに当てはめられる」の間には、思ったより大きな溝があります。独学で埋めにくいのは、まさにこの溝です。
独学とスクール、どちらを選ぶか

判断は、実は簡単です。
独学が向いている人
- 自分で調べて進めるのが苦にならない
- 締切がなくても手を動かせる
- 費用をかけたくない
スクールが向いている人
- 一人だと続かない自覚がある
- 何から始めるか決められずに止まっている
- 相談できる相手がほしい
私は完全に後者でした。一人で始めていたら、たぶん三日で止まっていたと思います。だから「操作は独学で足りた」と分かった今でも、通ったこと自体は後悔していません。
迷ったときの判断方法
おすすめは、まず1ヶ月だけ独学してみることです。
無料の解説を見ながら、1本作ってみる。1ヶ月続けられたなら、そのまま独学で問題ありません。逆に1週間で手が止まったなら、それが答えです。費用をかける前に、自分がどちらのタイプか確かめられます。
独学で進めるなら、この順番
「独学で足りる」と言われても、何から手をつけるか分からないと止まります。順番を書いておきます。
第1段階:カットができるようになる(数日)
まず素材を読み込んで、不要な部分を切って、書き出すところまで。ここまでで「1本の動画を作った」状態になります。
この段階では見栄えを気にしないでください。切って、繋いで、出力する。この一連の流れを一度通すことが目的です。
第2段階:テロップを入れる(数日)
次に文字を乗せます。案件で最も要求されるのがこの作業です。フォント、大きさ、位置、色。凝る必要はなく、読みやすく揃っていることのほうが評価されます。
コツは、既存の動画を真似ることです。狙っているジャンルの動画を見て、テロップの出方をそのまま再現してみてください。
第3段階:BGMと効果音を足す(1〜2日)
音が入ると、一気に完成品らしくなります。フリー素材を使えば費用はかかりません。音量のバランスだけ注意してください。BGMが大きすぎて話し声が聞こえないのは、よくある失敗です。
第4段階:作例を1本仕上げる(2〜3日)
ここまでの3つを使って、通しで1本作ります。これが応募時に見せるものになります。長い必要はなく、数分で構いません。
第5段階:応募を始める
ここから先は、編集の勉強ではなく提案文の勝負になります。実際、私が受注できたのは腕が上がったからではなく、提案文を直したからでした。
合計すると2〜3週間です。これ以上かけると、たいてい応募しないまま熱が冷めます。
費用で比べるとどうなるか
金額の差も整理しておきます。
| 項目 | 独学 | スクール |
|---|---|---|
| 学習の費用 | 0円(無料の解説で足りる) | 数十万円 |
| ソフト代 | 月額でかかる | 月額でかかる(受講中は割引がある場合も) |
| かかる時間 | 順番を自分で組む分、遠回りしやすい | 決まっているので迷わない |
| 相談できる相手 | いない | いる(質はスクールによる) |
私は約70万円を払いました。この金額を「操作を覚えるため」と考えると、間違いなく高すぎます。「続けられる環境と、相談できる相手を買った」と考えると納得できる、という感覚です。
逆に言えば、一人でも続けられる人にとっては、その価値は発生しません。だから最初の1ヶ月で自分がどちらのタイプか確かめる意味があります。
独学で進めるときの注意点
教材を集めすぎない
無料の解説が多いぶん、見るだけで満足してしまうのが独学の最大の落とし穴です。1本見たら1回手を動かす、を守ってください。
作例を早めに作る
操作を完璧に覚えてから作品を作ろうとすると、いつまでも始まりません。粗くていいので1本仕上げるほうが、結果的に上達します。
応募を後回しにしない
独学で一番危険なのは、準備期間が延び続けることです。締切がないので、いくらでも先延ばしできてしまいます。「もっと上手くなってから」と思っている間に、たいてい熱が冷めます。
提案文は誰かに見てもらう
独学でも、ここだけは一人で解決しにくい部分です。受注できている人の提案文の型を探して真似るところからでも構いません。自己流のまま送り続けるのが一番遠回りです。
独学でつまずきやすい場所

実際に独学で進めた人が止まりやすいポイントを挙げます。先に知っておくと回避できます。
解説動画を見るだけで終わる
これが最も多い形です。無料の解説が豊富にあることは、独学の利点であり最大の罠でもあります。見ているだけだと、分かった気にはなりますが手は動きません。
対策は単純で、1本見たら必ず1回手を動かすことです。見る時間と作業する時間が同じくらいになっていれば、健全な進み方だと思います。
設定の沼にはまる
書き出しの設定、フレームレート、コーデック。調べ始めると際限がありません。最初は推奨設定のままで問題ありません。細かい調整が必要になるのは、指定してくる案件を受けてからです。
質問できずに何日も止まる
独学の弱点がここに出ます。エラーの原因が分からないまま、何日も同じ場所で止まることがあります。
操作の疑問は検索でほぼ解決します。問題は「何を検索すればいいか分からない」状態のときです。こうなったら、いったんその機能を諦めて先に進んでください。必要になったときに戻れば済みます。
作例の方向性が定まらない
何を作ればいいか分からず、作例づくりで止まる人も多いです。
解決策は、先に募集要項を読むことです。どんな案件があるかを知ってから作れば、方向は自然に決まります。私は最初これをやらず、誰にも刺さらない作品を作っていました。
独学かスクールかで悩み続ける
皮肉ですが、これも立派なつまずきです。悩んでいる期間は、どちらの方法でも前に進んでいません。
1ヶ月だけ独学してみる。それで判断がつきます。悩む時間を、手を動かす時間に変えてください。
独学でも「営業」だけは別に学ぶ
操作は独学で足りると書きましたが、抜け落ちやすい領域がひとつあります。案件の取り方です。
私が受けたスクールのカリキュラムには、編集方法だけでなくクラウドソーシングでの営業のやり方や、卒業後のロードマップも含まれていました。これは独学の解説動画ではあまり扱われません。
編集ができても、案件は取れない
実際、私は操作を覚えても最初は受注できませんでした。提案文が悪かったからです。これは編集の腕とは無関係です。
独学で進める人は、編集の勉強と同じくらいの熱量で、提案文の書き方を調べてください。ここを自己流のまま進めると、いつまでも「実力不足だから取れない」と誤解し続けます。
調べるべきこと
- 提案文の構成(何を書き、何を書かないか)
- プロフィールに載せるべき情報
- 未経験でも通る案件の探し方
- 受注してから納品までの流れ
どれも検索すれば情報は出てきます。問題は、編集の勉強に夢中になって、ここを後回しにしてしまうことです。
提案文は必ず人に見てもらう
これだけは独学でも工夫が要ります。自分の提案文の弱点は、自分では見えません。
私が抜け出せたのは、同期に読んでもらったからでした。身近にいなければ、受注できている人の提案文の型を探して真似るところからで構いません。自己流のまま送り続けるのが、一番遠回りです。
よくある質問
Q. Premiere Proは月額費用がかかりますが、独学でも契約すべきですか?
A. 案件で指定されることが最も多いソフトなので、仕事にするつもりなら契約する価値はあります。ただし無料のソフトで操作の感覚をつかんでから移るという順番でも問題ありません。
Q. 独学だとどのくらいで案件に応募できますか?
A. 基本の4機能なら、数週間で形になります。準備に何ヶ月もかける必要はありません。
Q. スクールに行けば案件が保証されますか?
A. 保証はされません。私も卒業しただけでは取れず、提案文を直して初めて受注しました。「案件保証」を掲げているスクールは、内容を必ず具体的に確認してください。
他のソフトではだめなのか

「Premiere Proは月額費用がかかるから、無料のもので始めたい」という声はよく聞きます。ここも整理しておきます。
学ぶだけなら無料ソフトでも構わない
カットする、テロップを入れる、音を乗せる。編集という作業の考え方自体は、どのソフトでも同じです。無料のソフトで感覚をつかんでから移るという順番は、十分に成立します。
特に「そもそも自分に向いているか分からない」段階なら、費用をかけずに試すほうが合理的です。
ただし案件を取る段階では指定される
問題はここからです。募集要項に「Premiere Pro使用」と書かれている案件には、他のソフトでは応募できません。
理由は、発注側がプロジェクトファイルを共有したり、複数の編集者で作業を回したりするからです。仕上がりが同じでも、工程が合わないと組めません。
つまり「学ぶ」は自由でも、「稼ぐ」段階では合わせる必要があります。ここを分けて考えると判断しやすくなります。
契約するタイミング
おすすめは、応募を始める時期に合わせて契約することです。学習のために早く契約すると、収入ゼロの期間に月額だけがかかります。
無料期間を使って操作を覚え、作例を作り、応募を始めるタイミングで本契約に切り替える。この順番なら無駄が出ません。
独学ではなくスクールを選ぶ場合、何を基準にすればよかったのかは「動画編集スクールおすすめ比較|70万円払った卒業生が「選び方の基準」から話します」に書きました。
まとめ
Premiere Proの操作は、独学で足ります。利用者が多く解説が豊富で、最初に必要な機能も限られているためです。
ただし、独学で埋めにくいのは操作以外の部分でした。
- 何から学ぶかの順番
- 案件をどう取るかという営業の部分
- 手が止まったときに相談できる相手
スクールにお金を払う価値があるとしたら、それはソフトの使い方ではなく、この3つに対してです。ここを取り違えると、「独学でも学べる内容に高い費用を払った」と感じることになります。私自身がそうでした。


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