AIが書いた文章をそのまま出すと、何が起きるか。私の場合は「事実じゃない数字が、自然な日本語で混ざる」でした。投稿文をAIに書かせていたら、本当は68本なのに62本と書いてきたことがあります。文章としては違和感がないので、読み返しても気づけません。
そこから私が決めたのは、文章全体をきれいに直すのをやめて、直す場所を3つに絞るということでした。事実と数字、断定の強さ、そして自分の声。この3つ以外は、多少ぎこちなくてもそのまま出しています。
この記事は、Threadsとxで1日5本ずつ自動投稿を回しながら、AIの文章のどこに手を入れるかを決めていった実践ログです。うまくいかなかった手当ても含めて書きます。
そのまま出して最初に壊れたのは「数字」だった
私は2026年6月から自動投稿の仕組みを組み始めました。毎朝6時台にAIが投稿文をまとめて生成して、Googleドライブにテキストで保存する。投稿スクリプトはそれを読んで投げるだけ、という作りです。ThreadsもXも、7時・12時・17時・21時・23時の1日5本を全自動で流しています。
この構成だと、生成された文章を私が一本ずつ読む機会がありません。というより、読まなくても回るように作ってあります。そこで起きたのが、冒頭の「68本を62本と書いてくる」でした。
問題は間違えたこと自体より、間違いが自然な文章の形をしていることです。「これまで62本を自動投稿してきましたが」と書かれていて、日本語としてはどこも変じゃない。数字が違うと知っているのは私だけで、文章の側にはヒントが一つも出ていません。
誤字なら目に留まります。文法のねじれも読めば分かります。でも数字の誤りは、読んで気づくたぐいのものではありませんでした。ここで「読んで直す」という発想を一回捨てることになりました。
読み返して直せるものと、直せないもの
この経験のあと、AIの出力を2種類に分けて考えるようになりました。読み返せば直せるもの(言い回し、長さ、語尾)と、読み返しても直せないもの(事実、数字、固有名詞、日付)です。
前者にいくら時間をかけても、後者は一つも減りません。逆に後者を潰しておけば、前者が多少雑でも大事故にはならない。手を入れる場所を絞るというのは、この線引きのことです。
台帳を渡す、だけでは止まらなかった
対策としてまずやったのは、実際に起きたことと実測値だけを書いた台帳を作って、そこに載っている数字しか使わせないようにすることでした。これは考え方としては正しかったと思います。ただ、台帳を足しただけでは直りませんでした。
原因は、前から書いてあった別の指示との衝突でした。「毎回、具体的な出来事を必ず入れる」という指示が残っていて、台帳のネタが尽きると、AIは指示を守るために出来事のほうを作りに行ってしまう。台帳という制限と、必ず入れろという要求が、正面からぶつかっていたわけです。
「無ければ書かなくていい」と言い直して、やっと止まりました。この一行で挙動が変わったのは、私にとってはかなり大きな発見でした。
AIの文章を直すとき、私たちはつい出てきた文章のほうを見ます。でもこのときの不具合は、文章ではなく指示のほうにありました。同じ間違いが何度も出るなら、直す場所は文章ではなく指示側だと考えるようになったのは、ここからです。
「必ず入れろ」系の指示は矛盾を作りやすい
いま自分の指示文を見返すと、「必ず」「毎回」と書いた箇所はどれも危ういと感じます。素材が足りている間は問題なく動くのに、足りなくなった瞬間に埋め合わせが始まる。
なので今は、要求とセットで逃げ道を書くようにしています。「具体例を入れる。ただし台帳に無ければ入れなくてよい」という形です。一般に、生成AIは与えられた条件を満たそうとするので、満たせないときにどうするかまで書いておかないと、そこが空白になるのだと理解しています。
手を入れる場所その1|事実と数字

ここが最優先です。私が実際にやっているのは、原稿を読んで確認するのではなく、数字が出てきたら台帳のほうを開いて照合するという手順です。文章を信じない、という前提で動かします。
具体的に照合するのは、本数・日付・金額・期間・ツール名です。たとえば「6月25日から7月27日までに87本を自動投稿した」「7月のビューは527・いいね7・返信0・リポスト0」といった値は、全部台帳に書いてある。書いていない数字が原稿に出てきたら、その時点で削るか、台帳の値に差し替えます。
この照合は面白い作業ではありません。ただ、範囲は限定されています。5,000字の記事でも、数字が出てくるのは十数箇所です。文章全体をリライトするより、はるかに短時間で終わります。
「だいたい合っている」を許さない
62本と68本は、意味としてはほぼ同じです。主張も変わりません。それでも私は直します。一度でも合っていない数字を出すと、他の数字も同じ精度に見えてしまうからです。
私の記事や投稿は、実測値が売りみたいなところがあります。フォロワーが0人のまま87本投稿した、というのは、正確だから意味がある話です。ここが崩れると、書いている内容そのものが立たなくなります。
手を入れる場所その2|断定の強さ
AIが書いた文章は、放っておくと言い切ります。「〜すれば伸びます」「〜が正解です」といった形です。読み心地はいいのですが、私の手元にその根拠はありません。
私が持っているのは、自分の環境で起きたことだけです。Threadsで週ごとの平均ビューが18.2 → 15.9 → 8.4 → 7.9 → 5.0と右肩下がりだった、という事実はあります。でもそこから「こうすれば伸びる」は出てきません。むしろ私は伸ばせていない側です。
なので断定を見つけたら、次のどれかに書き換えます。
- 自分の実測に基づく話 →「私の環境では〜だった」
- 一般に言われている話 →「一般に〜と言われています」
- 根拠が出せない話 → 丸ごと削除
3つ目が一番多いです。AIの文章から断定を抜くと、削るしかない段落がけっこう出てきます。それで文字数が減っても、残ったほうが読める文章になっていることが多いと感じています。
おすすめの言い切りは特に危ない
ツールの紹介を書かせると、使ったことのないツールでも自然におすすめしてきます。私が実際に使ったことがあるのは、ChatGPT・Claude・Gemini・higgsfield・Windowsのタスクスケジューラー・Discordだけです。それ以外の名前が出てきたら、未検証だと明記するか、削ります。
この判断は原稿を読んでいる時点ではやりにくいので、私は先に「使ったことのあるツール一覧」を渡しています。ここでも、直す場所は原稿ではなく渡す材料のほうでした。
手を入れる場所その3|自分の声
3つ目は、事実として正しくても自分が言わないことを直す、という作業です。ここは検証できないので、感覚でやっています。
たとえば私は、飲食の仕事を10年やってからSNS運用代行で独立しました。AIにこの経歴を渡すと、料理と自動化を重ねたたとえ話を書いてくることがあります。事実としては間違っていませんが、私は自分の経歴を比喩に使いません。使うと、経歴そのものが道具っぽく見えてしまうからです。
もう一つよくあるのが、成功譚の形に整えられてしまうことです。私が実際に書きたいのは、独立して半年くらい無収入で、そのあと半年も一桁万円台だった、アルバイトをしながら食いつないでいた、という順序のまま並んでいる話です。そこに「しかし今では」を足されると、別の人の話になります。
不安をそのまま残す
2026年8月の時点で、自社の収益はまだ立っていません。業務委託は仕事量が多いわりに利益が低い。自分の発信の集客もうまくいっていない。誰にも見られていない状況が続くのは、単純にきついです。
AIはこういう部分を、前向きな締めに変えようとします。ここは毎回戻しています。結論が出ていない話を、出ているように書かないこと。これが自分の声を守る、いちばん実務的なルールになりました。
逆に、直さないと決めたところ
手を入れる場所を絞るというのは、直さない場所を決めるということでもあります。私が触らないと決めたのは主に3つです。
ひとつは語尾や言い回しの細かい調整。「〜です」「〜ます」の並びが単調でも、意味が通っていれば出します。ここを直し始めると終わりがなく、そのわりに読む人にとっての違いが小さいと感じました。
ふたつめは構成の入れ替えです。見出しの順番が最善でなくても、内容が入っていれば動かしません。並べ替えは時間がかかるうえに、直しているうちに事実確認が後回しになります。
みっつめは長さです。短ければ短いまま出します。無理に足すと、足した部分が一番あやしくなる。これは台帳のネタが尽きたときに作り話が出た件と、たぶん同じ構造です。
時間配分を実際に変えた
以前は、出てきた文章を頭から読んで気になるところを直していました。今は、先に数字だけ拾って照合し、次に断定を潰し、最後に自分の声として違うところを戻す、という順番でやっています。
順番を変えただけで、同じ時間でも事実の確認漏れが減りました。頭から読むと、序盤の言い回しに時間を使いすぎて、終盤の数字が雑になります。
エラーが出ない失敗が、いちばんこわい

AIの文章の話から少しずれますが、根っこは同じだと思っている出来事があります。Xの自動投稿を組んだとき、タスクスケジューラーの表示は全部「準備完了」なのに、実際は一度も動いていませんでした。原因は登録スクリプトで変数名にPowerShellの予約語を使っていて、タスクに渡す引数が丸ごと空になっていたことです。エラーもログも残らないので、気づくのに時間がかかりました。
日付を整える処理でも似たことがありました。パソコンによって使える書き方と使えない書き方があるのを知らずに書いて、機能がまるごと無言でスキップされていた。どちらも、画面上は問題なく見えています。
AIが書いた誤った数字も、これと同じ種類の失敗です。止まってくれない失敗は、自分でチェック手順を作らないと永久に見つからない。それ以来、タスクを登録したあとは「準備完了」の表示だけで安心せず、渡している引数が空になっていないか毎回確かめるようにしています。原稿の数字を毎回台帳と照合するのも、同じ発想でやっています。
それでも文章の質は、届く量とは別だった
正直に書いておきます。ここまでやって文章の精度は上がりましたが、数字はほとんど動いていません。
6月25日から7月27日までに87本を自動投稿して、その間フォロワーは0人のままでした。7月27日時点で7月のビューは527・いいね7・返信0・リポスト0。返信は一度も来ていません。68本のうち13本はビューが0か1でした。
2026年8月4日までの7日間で見ると、Threadsに24本投稿して合計ビュー120・いいね1・返信0。ビューが0か1のままだった投稿が8本ありました。7月のThreadsは82本で合計ビュー582・いいね8・平均ビュー7.1です。noteのほうは7月27日時点で記事27本、フォロワー2人、全記事の合計いいねが45でした。
つまり、自動投稿は「続ける力」はくれましたが「届く力」は別物でした。文章の質を上げる前に、そもそも誰にも見られていないことのほうが問題です。
それでもAIの文章に手を入れる場所を決めたのは、見られていない今のうちに間違いを出す癖を潰しておきたかったからです。数字が違う投稿を100本出しても、いまは誰も指摘してくれません。
唯一、傾向として見えたこと
実測から一つだけ言えるのは、抽象的な問いかけだけの投稿より、具体的なしくじりを書いた投稿のほうが見られていた、ということです。スロット別でも、7月27日時点の平均ビューは朝15.7・昼5.7・夜1.8で、朝がいちばん見られていました。7月全体でも平均ビューが最も高かったのは朝の枠です。
これは私の環境の話で、他の人に当てはまるかは分かりません。ただ、しくじりが読まれるという実感は、AIに文章を書かせるうえでも効いています。台帳に載っている具体的な失敗を渡したときのほうが、出てくる文章の直す量が明らかに少ないからです。
いま私が手を入れている順番
最後に、いまの手順をそのまま書いておきます。特別なことはしていません。
まず、原稿に出てくる数字を全部拾って台帳と突き合わせます。台帳に無い数字は削るか差し替える。次に断定表現を探して、実測に基づくもの・一般論・根拠なしの3つに分けて、最後のものは削ります。そのあとで、自分が言わない言い回し(比喩や、無理な前向きの締め)を戻します。
ここまでで終わりです。語尾も構成も長さも触りません。もし同じ種類の直しが3回続いたら、原稿ではなく指示側を書き換えます。台帳を足しただけでは直らなくて「無ければ書かなくていい」を足してやっと止まった、あの経験があるからです。
クライアントの案件をコンセプトから作り直したときも、伸びるまで手応えは一切ありませんでした。やっている最中は効いているのかどうか分からないまま続けて、最近になって急に伸びた。だから今も、反応が無い期間をすぐ失敗とは思わないようにしています。この記事の手順も、まだ効果を数字で示せる段階にはありません。
まとめ

- AIの文章をそのまま出して最初に壊れたのは、言い回しではなく数字だった。本当は68本なのに62本と書いてきて、文章が自然なので読んでも気づけなかった。
- 手を入れる場所は3つに絞った。事実と数字、断定の強さ、自分の声。それ以外は触らない。
- 読み返して直せるもの(語尾・長さ)と、読み返しても直せないもの(数字・日付・固有名詞)を分けて、後者に時間を使う。
- 実測値の台帳を渡すだけでは止まらなかった。「毎回、具体的な出来事を必ず入れる」という指示とぶつかっていて、「無ければ書かなくていい」を足してやっと止まった。
- 同じ直しが繰り返されるなら、原稿ではなく指示側を書き換える。
- 断定は、実測に基づくもの・一般論・根拠なしに仕分けて、最後は削る。未使用のツールをおすすめさせない。
- 結論が出ていない話を、出ているように書き換えさせない。これが自分の声を守る一番実務的なルールになった。
- 直さないと決めたのは、語尾の調整・構成の入れ替え・長さの水増し。無理に足した部分が一番あやしくなる。
- エラーが出ない失敗が一番こわい。タスクが「準備完了」でも動いていなかった件と、誤った数字が自然に混ざる件は同じ種類。
- 文章の精度を上げても数字は動いていない。87本投稿してフォロワー0人、7月のビューは527・いいね7・返信0。自動投稿は「続ける力」はくれても「届く力」は別物だった。


コメント