フリーランスになるには|会社員から独立するまでの現実的な手順

フリーランスになるには|会社員から独立するまでの現実的な手順 フリーランス

「フリーランスになりたい」と思ってから、実際に会社を離れるまでには、いくつも判断が必要になります。何を先にやるべきか、どのくらい準備すればいいのか。私も分からないまま進みました。

当時の私は契約社員でした。給料は上がる見込みがなく、契約が続く保証もない。安定していない立場だったからこそ、独立のほうが怖くなかったという面はあります。

この記事では、実際に独立するまでにやったことと、順番を間違えたと感じている部分を書きます。

結論:辞めるより先に「1件受注する」

順番として一番大事なのはこれです。会社を辞める前に、副業でいいので1件だけ受注しておいてください。

理由は収入のためではありません。「自分で仕事を取れる」ことを一度でも確認しておくと、その後の判断がまったく変わるからです。

逆に、受注経験がないまま辞めると、収入ゼロの状態で初めての営業をすることになります。焦った状態で送る提案は、まず通りません。私はここだけは順番を守りました。

ステップ1:何で稼ぐかを決める

最初に決めるのは、売るものです。「フリーランスになりたい」だけでは動けません。

選ぶときの基準は、この2つで十分です。

  • 成果物が分かりやすいか——動画、記事、デザイン、サイトなど、納品物が形として見えるもの
  • 案件が実際に募集されているか——クラウドソーシングを開いて、募集件数を数えてみる

私は動画編集から入りました。理由は、比較的短期間で形になり、案件の数も多かったからです。結果として今の主軸は別の仕事になりましたが、入口としては機能しました。

「好きなこと」で選ばなくていい

好きなことを仕事にという話はよく聞きますが、最初は「案件が存在するか」を優先したほうが現実的です。需要のない分野を選ぶと、実力に関係なく仕事が来ません。

ステップ2:働きながら1件受注する

ここが山場です。私は契約社員として働きながら進めました。

やることは3つです。

  • 作例を1本作る(実績ではなく、見せるためのもの)
  • クラウドソーシングに登録し、プロフィールを埋める
  • 提案文を送る

提案文で詰まる人が非常に多いです。私も返事が来ない時期が続きました。抜け出せたのは、提案文を人に見てもらって直したからでした。自分では弱点が見えません。

この段階で大きく稼ぐ必要はありません。1件でいいので「自分で取れた」という事実を作るのが目的です。

ステップ3:辞める判断をする

手順を確認する様子

ここで初めて、辞めるかどうかを考えます。判断の材料になるのは次の3つです。

1. 生活費の何ヶ月分の貯金があるか

収入が不安定になる前提で、最低でも数ヶ月ぶんの生活費は見ておいたほうがいいです。金額よりも「何ヶ月しのげるか」で考えると判断しやすくなります。

2. 続けられそうな受注経路があるか

1件取れたのが偶然か、再現できるのかは大きな違いです。2件目を取れているかどうかが、ひとつの目安になります。

3. 辞めないと時間が作れない状態か

働きながらでも回るなら、無理に辞める必要はありません。案件が増えて時間が足りなくなったときが、自然な移行のタイミングです。

ステップ4:辞める前にやっておくこと

会社員でなくなると、いくつか手続き上の不便が出てきます。先にやっておくと後が楽です。

  • クレジットカードの作成・更新——会社員のうちのほうが審査が通りやすい傾向があります
  • 賃貸契約の更新——同様の理由です
  • 健康保険と年金の切り替え先を調べておく——退職後に手続きが必要になります
  • 使う予定の機材を揃えておく——収入が不安定になってからだと決断しにくくなります

※保険や年金の具体的な手続き・金額は状況によって変わるので、お住まいの自治体や年金事務所の案内で必ず確認してください。ここでは触れるだけにとどめます。

独立後、収入はどう作られるか

ここが独立前に一番イメージしにくい部分だと思うので、実際の形を書きます。

収入は「単発」と「継続」でまったく違う

フリーランスの収入は、案件の性質で安定度が大きく変わります。

種類特徴安定度
単発案件1本納品して終わり。数をこなす必要がある低い。終わるたびに営業が要る
継続案件月に何本、あるいは月額で契約する高い。読める収入になる
業務委託(常駐・稼働時間契約)時間で契約する。会社員に近い形最も高いが、時間を売っている

私は現在、業務委託の運用代行が土台にあり、そこに制作の案件が乗る形です。土台になる継続的な収入を1つ作れると、精神的にかなり楽になります。

逆に単発だけで組み立てると、常に次を探し続けることになります。私が動画編集で失速したのも、単発の案件が終わったあとに振り出しへ戻ったからでした。

時間を売る仕事から抜けられるか

ただし、業務委託には限界もあります。時給で働いている限り、収入は使える時間の上限で止まります。

私自身、ここが今の課題です。だから作業を仕組み化して時間を空け、その時間で別の収入源を育てる方向に動いています。独立してすぐに考えることではありませんが、頭の片隅に置いておくと選ぶ案件が変わります。

会社員との違いで、実際に困ったこと

独立して初めて実感した差を、正直に書きます。

収入が入る時期がずれる

納品してすぐ入金されるわけではありません。月末締めの翌月払いなど、案件によって支払いのタイミングが違います。働いた月と入金される月がずれるので、最初の数ヶ月は手元の現金が薄くなります。

これは貯金の必要性そのものです。生活費の数ヶ月ぶんを見ておくべき理由の半分は、この時差にあります。

働く時間を自分で区切る必要がある

時間が自由になる代わりに、終わりを決めるのも自分になります。私は最初、際限なく作業してしまいました。

会社員のときは終業時刻が勝手に来ますが、独立するとそれがありません。作業する時間帯を先に決めておかないと、生活が仕事に侵食されます。

相談する相手がいなくなる

意外と効くのがこれです。判断を全部自分でするようになると、正解が分からないまま進むことが増えます。

私はスクールの同期と今も連絡を取り合っていて、情報交換が続いています。独立前に、同じ立場の人とのつながりを作っておくと後が違います。

ステップ5:独立後にやること

これからを考える様子

辞めた後で必要になるのは、主にこの3つです。

  • 開業届の提出(出すかどうか、いつ出すかの判断を含む)
  • 会計の記録を始める——後からまとめてやると必ず苦しみます
  • 受注経路を増やす——1本に頼ると、そこが止まったときに困ります

特に3つ目です。私は最初、クラウドソーシングだけに頼っていて、案件が途切れたときに苦しくなりました。エージェント登録や、発信からの問い合わせなど、複数の入口を持っておくほうが安定します。

私が順番を間違えたと思うこと

受注中に次の営業をしなかった

最大の反省です。1件受けると目の前の作業に集中してしまい、次を探さなくなります。契約が終わった瞬間に振り出しに戻るという状態を、自分で作っていました。

営業を「頑張ろう」としてしまった

私は営業がとても苦手です。それを根性で克服しようとして、うまくいきませんでした。

今は売り込まなくても見つけてもらえる形に切り替えています。発信を続けて、興味を持った人が連絡できる場所を用意しておく。苦手なことは、直すより避ける形を作ったほうが早いというのが実感です。

1つの分野に固執しかけた

動画編集で始めましたが、今の主軸はSNS運用代行とサイト制作です。始めた分野を続けなければいけないわけではありません。手を動かすうちに、向いている場所は変わります。

独立前にやっておくと差がつくこと

手続き以外で、やっておくと後が楽になることを挙げます。

発信を先に始めておく

これは強くおすすめします。営業をしなくても声がかかる状態を作るには、時間がかかるからです。

独立してから発信を始めると、成果が出るまでの期間を無収入で耐えることになります。会社員のうちに始めておけば、その助走を給料をもらいながら走れます。

私は営業がとても苦手なので、売り込みに行くのではなく見つけてもらう形に賭けました。実務でやったこと、失敗したことを発信し続けて、興味を持った人が連絡できる場所を用意しておく。この形にたどり着くまでには相応の時間がかかりました。

使える実績を整理しておく

会社で担当した仕事のうち、外に出せる範囲で説明できるものを整理しておいてください。守秘義務に触れない形で「どういう作業を、どのくらいの規模でやったか」を言語化しておくだけで、提案のときに書けることが増えます。

やらないことを決めておく

独立直後は、来た仕事を全部受けたくなります。ただ、安すぎる案件や条件が曖昧な案件を受けると、時間だけ取られて次に進めません。

「この金額以下は受けない」「この条件が書かれていない案件は応募しない」といった線を、冷静なうちに決めておくといいです。困ってから決めると、たいてい妥協します。

独立の形はひとつではない

「フリーランスになる」と言っても、実際の働き方には幅があります。自分に合う形を選べることを知っておくと、判断が楽になります。

完全に独立する

会社を辞めて、収入を全部自分で作る形です。自由度は最も高い代わりに、収入の波を全部自分で受けます。受注経路が複数あることが前提になります。

副業のまま続ける

会社に在籍したまま、副業として続ける形です。収入の土台があるので、単価の低い案件を無理に受ける必要がありません。結果として、いい条件の仕事だけを選べます。

「独立するのが正解」ではありません。会社の仕事が嫌でないなら、副業のまま続けるほうが有利なことも普通にあります。

業務委託を土台にする

私が今やっているのはこれに近い形です。継続的な業務委託を土台にして、そこに単発の制作案件を乗せる。収入がある程度読めるので、精神的にかなり違います。

ただし時間を売っている面があるので、そこから先の広げ方は別に考える必要があります。

複数の収入源を持つ

クライアントワークだけでなく、自分の商品やコンテンツを持つ形です。すぐには立ち上がりませんが、案件が途切れても収入がゼロにならない構造を作れます。

どれが正解ということはなく、状況に応じて移っていくものだと思っています。私も動画編集から運用代行へ移りましたし、今も形は変わり続けています。

よくある質問

オンラインで学ぶ様子

Q. スキルがない状態からでもなれますか?
A. 未経験から始めること自体は可能です。ただし「辞めてから学ぶ」より「働きながら学んで1件取る」ほうが圧倒的に安全です。

Q. 貯金はいくら必要ですか?
A. 生活費によって変わるので金額では言えませんが、何ヶ月しのげるかで考えるのが実用的です。受注が不安定な前提で計算してください。

Q. 会社員に戻れなくなるのが怖いです
A. 副業で1件受注してから判断すれば、辞めずに続ける選択肢も残ります。辞めることと始めることは別々に判断できます。

独立して1年目に感じたこと

実際に会社を離れてみて、想像と違った部分を書いておきます。

思ったより自由ではない

時間の使い方は自由になりますが、納期と連絡には縛られます。平日の昼間に出かけられる代わりに、夜や休日に作業していることも普通にあります。

「好きな時間に働ける」は事実ですが、「働く時間が減る」わけではありません。ここを取り違えると、独立してから落差を感じます。

収入より、途切れないことのほうが大事

独立前は金額ばかり気にしていましたが、実際に効いたのは「来月も仕事があるか」でした。

単発で大きな案件を取るより、金額が小さくても続く仕事が1つあるほうが、精神的にはるかに安定します。判断に迷ったときは、金額より継続性を見るようになりました。

やることが自分で決められる分、迷いも増える

指示されないので、何に時間を使うかを毎日自分で決めます。売上に直結しない作業に一日を使ってしまうこともあります。

私は、繰り返しの作業を仕組み化して自動で回すようにしました。判断が必要な作業に時間を残すためです。自由になった時間をどう配分するかは、独立後の大きなテーマになります。

まとめ

会社員からフリーランスになる順番は、こうなります。

  • 何で稼ぐかを決める(好きかどうかより、案件があるか)
  • 働きながら1件受注する——ここが最重要
  • 貯金・再現性・時間の3点で辞める判断をする
  • 会社員のうちにできる手続きを済ませる
  • 独立後は受注経路を複数持つ

私は契約社員という不安定な立場から独立しました。特別な準備があったわけではなく、順番を守っただけです。その中でも「辞める前に1件取る」は、これから独立する人にも強くおすすめします。

【内部リンク:営業が苦手でも仕事が取れる方法(記事08)/未経験から動画編集の副業を始める手順(記事03)/会社を辞める前にやっておいてよかったこと(記事17)】

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