オンライン講座を申し込む直前に、同じ公式サイトの中で金額の書き方が揃っていないことに気づいて、手が止まることがあります。販売ページには「わずか9万9800円で申し込めるスクール」と書いてあるのに、別のページには「99,800円」とだけあって税込か税抜かが書かれていない。この記事は、そういうときにどちらのページを申込前の判断材料にするかという一つの質問に答えます。
書いているのは「AIフリーランスラボ」編集部です。ここで扱う講座については受講しておらず、体験談は書きません。やっているのは、各社が公開している料金ページと特定商取引法に基づく表記を同じ項目に並べ直して、読む人が自分の場合の総額を出せる形にすることだけです。
先に結論を書きます。金額そのものは、特定商取引法に基づく表記のページを見てください。そこは販売ページのキャッチコピーとは違い、法律で表示が義務づけられている場所だからです。ただし特商法ページには書かれていない情報(動画本数、サポートの中身、視聴できる期間)もあるので、販売ページを読まなくていいという話ではありません。役割が違う2枚を、両方開いて突き合わせるのがこの記事の提案です。
特定商取引法に基づく表記のページは、何のためにあるのか
オンラインで商品や講座を売っているサイトには、たいてい画面のいちばん下に「特定商取引法に基づく表記」というリンクがあります。装飾のないテキストだけのページで、事業者名、所在地、販売価格、支払い時期、返品・キャンセルの可否といった項目が並んでいます。
このページの性格は、販売ページとはっきり違います。販売ページは「この講座がどれだけ良いか」を伝える場所で、書き方は各社の自由です。一方、特商法ページは取引条件を表示するための場所で、載せる項目が決まっています。だから、盛り上げるための言い回しが入りにくい。
申し込む前の読者にとって、この違いは実用的です。販売ページの数字は「魅力的に見せた結果の数字」である可能性がありますが、特商法ページの数字は「取引の条件として提示された数字」です。どちらを信じるかで迷ったら、後者を採る。これが、この記事でいちばん伝えたい判断です。
念のために書いておくと、これは「販売ページが嘘をついている」という話ではありません。次で見る実例のように、多くの場合は表記の粒度が違うだけです。粒度が違うと、読む人が自分の総額を計算できなくなる。だから細かいほうを見る、という順番です。
実例1:MovieHacksの、販売ページと特商法ページの書き方の違い
実際に食い違いが見える例として、動画編集講座のMovieHacksを取り上げます。ここは、特商法ページと販売ページで金額の表記の仕方が揃っていません。
| 確認した場所 | コースの呼び方 | 金額の表記 |
|---|---|---|
| 特定商取引法に基づく記載 | 単体コース | 69,800円 |
| 特定商取引法に基づく記載 | 案件獲得支援コース | 99,800円 |
| 販売ページ(FAQ内の表現) | 案件獲得セットコース | 「わずか9万9800円で申し込めるスクール」 |
出典:https://brain-holdings.com/skillhacks/tokushoho/ / https://brain-holdings.com/skillhacks/services/movie-hacks/ (いずれも2026年8月21日取得)
金額そのものは99,800円で一致しています。食い違っているのはコースの呼び名と、金額の書き方です。特商法ページは「案件獲得支援コース」、販売ページは「案件獲得セットコース」。数字は「99,800円」と「9万9800円」。
そして、この講座の表記でもう一つ確認しておきたい点があります。特商法ページの販売価格には、税込か税抜かの別が書かれていません。これは編集部の推測ではなく、記載が見当たらなかったという事実です。総額を出すときには、この一点が効いてきます。69,800円が税抜だった場合と税込だった場合では、支払う金額が変わるからです。
この場合の実務的な対処は、単純です。申込画面まで進んで、決済の直前に表示される金額を見る。そこが最終的な支払額です。ページ上の表記だけで税の扱いを決めつけない、というのが安全な進め方になります。
返金の条件は、特商法ページのほうに書いてある
金額以外にも、特商法ページを見ないと分からないことがあります。MovieHacksの返金については、特商法ページに「デジタルコンテンツおよびオンライン役務の性質上、お申込み完了後のキャンセル・返金はお受けしておりません」と書かれています。つまり申込完了後の返金は不可です。
この条件は、金額と同じくらい判断に効きます。返金ができないということは、払う前に決め切る必要があるということだからです。買ってから合わなかったときの逃げ道が無い前提で、内容を確認してから申し込む、という順番になります。
参考までに、同じ事業者が売っているプログラミング講座のSkillHacksでは、特商法ページに「2年以内に講座代金を回収できなかったら返金」という条件が明記されています。販売価格は398,000円(サポート期間2年)です。同じ会社の中でも、講座によって返金の条件が違うということです。「この会社は返金あり/なし」とまとめて覚えると外します。講座ごとに、その講座の特商法ページを見てください。
出典:https://brain-holdings.com/skillhacks/tokushoho/ (2026年8月21日取得)
実例2:クリエイターズジャパンは、税込表記が明示されている

比較のために、同じく動画編集講座のクリエイターズジャパンの公開表示も並べます。こちらは受講しておらず、内容の評価はしません。並べるのは公開されている条件だけです。
| プラン | 価格 | 税の表記 | 分割の例 |
|---|---|---|---|
| ベーシックプラン | 79,800円 | 税込と明記 | クレジットカード24分割で月々3,325円〜 |
| マスタープラン | 149,600円 | 税込と明記 | クレジットカード24分割で月々6,234円〜 |
出典:https://creators-jp.com/videoeditor/profile/ (2026年8月21日取得)
マスタープランについては、公式ページに「通常159,600円 → 10,000円OFF」という表記があります。これは取得日時点の表示です。値引きの表示は期間で変わることがあるので、申し込むときには必ず現在の表示を確認してください。
ここで注目したいのは、金額の高い安いではありません。税込であることが書かれているかどうかです。クリエイターズジャパンは「79,800円(税込)」の形で表示しているので、読む人は自分で税を足す必要がありません。MovieHacksの69,800円は税の別が書かれていないので、決済画面まで確認する手間が残ります。
同じ「講座の値段」でも、読み手が総額にたどり着くまでの手数が違う。申込前に見るべきなのは、この手数の差です。
返金についての記載
クリエイターズジャパンの返金保証については、公式ページに記載が見当たりませんでした。「返金がない」と断定はできません。確認できたのは「ページ上に記載を見つけられなかった」という事実だけです。ここが判断に関わるなら、申し込む前に運営へ直接問い合わせるのが確実です。
金額の下に隠れる費用:Adobeの扱いが2社で違う
動画編集講座の場合、講座代金だけでは総額になりません。編集ソフトの費用が別にかかるからです。この点も、2社で書き方が違います。
| 講座 | ソフト費用についての公式表記 |
|---|---|
| MovieHacks | 別途、月額5,680円(学生1,980円)とCreative Cloudの費用を金額つきで明記 |
| クリエイターズジャパン | Premiere Pro単体プランで月額約3,280円(年間一括払い)、Creative Cloudコンプリートで月額約6,480円〜が目安、とFAQに記載 |
出典:https://brain-holdings.com/skillhacks/skillhacks/services/movie-hacks/ の販売ページ表記および https://creators-jp.com/videoeditor/profile/ (いずれも2026年8月21日取得)
※正しい参照先は https://brain-holdings.com/skillhacks/services/movie-hacks/ です。
どちらも「講座代金とは別にかかる」と書いている点は同じです。違うのは、どのプランを前提にした金額かというところ。MovieHacksはCreative Cloudの費用として1つの金額を示し、クリエイターズジャパンは単体プランとコンプリートプランの2通りを目安として示しています。
自分の総額を出すときは、どちらのプランを契約するつもりかを先に決めてから足してください。単体プランとコンプリートプランでは、月額で約3,200円の差があります(6,480円 − 3,280円)。1年で約38,400円の差です。講座代金の比較よりも、こちらのほうが金額に効いてくる場合があります。
なお、これらのソフト代は各講座の公式ページに載っている目安であって、Adobe側の現在の価格ではありません。実際に契約するときは、Adobeの公式サイトで現在の金額を確認してください。
申し込む前に見る5項目:この順番で確認する
ここまでの内容を、申込前のチェック項目として並べます。特商法ページと販売ページを両方開いて、上から順に埋めていく形です。
- 1. 販売価格:特商法ページの数字を採る。販売ページのキャッチコピーの数字と違ったら、特商法ページを優先する。
- 2. 税込か税抜か:特商法ページに書かれていなければ、決済画面の直前まで進んで表示金額を確認する。ページ上の数字だけで判断しない。
- 3. 返金・キャンセルの可否:これも特商法ページ。同じ事業者でも講座ごとに違う。MovieHacksは不可、SkillHacksは2年以内に回収できなければ返金、と条件が分かれている。
- 4. 講座代金以外にかかるもの:ソフト代、ハード代など。販売ページやFAQに書かれていることが多い。金額つきで書かれているか、目安としか書かれていないかも見る。
- 5. 支払い方法と分割の可否:クレジットカードの分割回数、銀行振込ができるか。ここは販売ページやFAQ側にあることが多い。
この5項目のうち、1から3は特商法ページ、4と5は販売ページ側にあることが多い、という分担になります。だから両方開く必要がある。特商法ページだけを見れば済む、という話ではありません。
支払い方法の実例
5項目めの支払い方法について、2社の公開表示を並べておきます。
| 講座 | クレジットカード | 銀行振込 |
|---|---|---|
| クリエイターズジャパン | 最大24回分割 | 一括のみ(公式FAQに明記) |
| MovieHacks | PayPal/テレコムクレジット | 可(確認に最大2営業日) |
出典:https://creators-jp.com/videoeditor/profile/ / https://brain-holdings.com/skillhacks/services/movie-hacks/ (いずれも2026年8月21日取得)
分割にかかる金利や手数料については、各社の公開ページで金額を確認できませんでした。分割で払うつもりなら、カード会社側の手数料を自分で確認してから総額を出してください。月々3,325円という表示は、分割の目安であって支払総額ではありません。
もう一つの読み方:値段が変わる講座と、変わらない講座

特商法ページの数字を見るとき、もう一つ気にしておきたいことがあります。その金額が、いつまで有効な金額なのかです。
今回並べた2社は、どちらも買い切りです。クリエイターズジャパンは両プランとも視聴期限なし、MovieHacksは受講期間無制限でスクール専用サイトへの永久ログイン権利がある、と公式ページに書かれています。買い切りの講座では、支払うのは1回だけなので、総額の計算は「講座代金+ソフト代」で済みます。
一方で、月額や年額で払い続けるサービスは、書き方の癖が別にあります。参考として、フリーランスが使う会計ソフトの料金表記を例に挙げます。
| サービス・プラン | 年払い | 月払い | 年額どうしの差 |
|---|---|---|---|
| freee会計 スターター | 980円/月(年額11,760円) | 1,780円/月(年額21,360円) | 9,600円 |
| freee会計 スタンダード | 1,980円/月(年額23,760円) | 2,980円/月(年額35,760円) | 12,000円 |
出典:https://www.freee.co.jp/personal-business/accounting/pricing/ (2026年8月20日取得)いずれも税抜表示です。
ここで押さえたいのは、「980円/月」という表示が、月払いの金額ではないという点です。980円は年払いを選んだときの月あたり換算で、実際には年額11,760円をまとめて払います。月払いを選ぶと1,780円です。年額の差は9,600円(21,360円 − 11,760円)、スタンダードでは12,000円(35,760円 − 23,760円)になります。
講座の「9万9800円」も、会計ソフトの「980円/月」も、構造は同じです。いちばん小さく見える数字が先に出ている。だから、その数字が何を前提にした数字なのかを一段下げて確認する。特商法ページを見るという習慣は、この確認をいちばん確実にやる方法だと考えています。
この記事が向く人・向かない人
ここまでの内容は、まだ申し込んでいなくて、これから決める人に向けて書いています。特商法ページを開いて条件を突き合わせるのは、払う前にしか意味がない作業だからです。
逆に、次のような場合には、この記事はあまり役に立ちません。
- すでに申し込んで受講中の人:条件を確認しても、支払いは終わっています。返金の可否を調べたいなら、この記事ではなく契約時の特商法ページと運営への問い合わせが確実です。
- どの講座がいいかを決めてほしい人:この記事は公開されている条件を並べただけで、講座の中身は評価していません。受講していないので、良し悪しは書けません。
- 最安値を知りたい人:ここに載せた金額は取得日時点のものです。値引きの表示は変わります。今いくらかは、公式ページを見るのが最短です。
金額や条件は変わります。この記事の数字は、freee会計が2026年8月20日、動画編集講座2社が2026年8月21日に各社の公式ページで確認したものです。申し込む前には、必ず各社の公式サイトで最新の表示をご確認ください。
運営者の体験メモ

ここから数行だけ、編集部ではなく運営者本人の記録です。
2026年8月21日、料金ページの数字が取れず「JavaScriptで表示しているから無理だ」と判断して、その会社だけ調べるのをやめていたことがありました。開き直してみたら、単にURLが違っただけで、正しいページにはHTMLの中にちゃんと料金表が入っていました。転送された先を見ずに、原因を自分で決めつけていたわけです。
この記事で「特商法ページも開いてください」と書いているのは、自分がまさに、開くべきページを開かずに結論を出していたからです。ページが1枚しか無いと思い込んでいると、そこに書かれていないことは存在しないことになってしまいます。
金額の話でいうと、私は動画編集のスクールに約70万円払っています。期間は6ヶ月でした。独立初期に受けていた編集案件は1本4,000円から10,000円だったので、70万円は70本から175本ぶんです。払う前に、この割り算をしていませんでした。
まとめ:公式ページの中で金額が食い違っていたら、どちらを見るか
最初の質問に答えます。金額は、特定商取引法に基づく表記のページを見てください。販売ページのキャッチコピーではなく、法定表示のほうを取引条件として扱う、という順番です。
そのうえで、実際に確認するときの動き方をもう一度整理します。
- 1. 特商法ページで、販売価格・返金の可否を確認する。
- 2. 税込か税抜かが書かれていなければ、決済画面の直前まで進んで表示額を見る。
- 3. 販売ページやFAQで、講座代金以外にかかるもの(ソフト代など)と支払い方法を確認する。
- 4. 3で出た金額を足して、自分の場合の総額を出す。分割で払うならカード会社の手数料も自分で確認する。
今回の実例でいえば、MovieHacksは特商法ページで単体69,800円・案件獲得支援コース99,800円(税の別は記載なし)で返金は不可、クリエイターズジャパンはベーシック79,800円・マスター149,600円(いずれも税込)で返金についての記載は見当たりませんでした。どちらも、講座代金とは別にAdobeのソフト代がかかります。
これは、どこかの会社が不誠実だという話ではありません。読む人が申込前に開くページを、1枚増やすだけの話です。ページの下のほうにある地味なリンクを1回クリックする。それだけで、あとから「思っていた金額と違った」と気づく確率は下がります。
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