動画編集スクールを選ぶとき、私は「どこで学ぶか」ばかり考えていて、「払ったお金をどう回収するか」をまったく考えていませんでした。約70万円を払い、6ヶ月通い、独立してから半年は無収入。その経験を振り返って、払う前に確認しておけばよかった基準を、この記事にまとめます。
書いているのは、元調理師のさとりです。飲食の現場に10年いて、独立するために動画編集スクールに入り、いまはSNS運用代行のフリーランスとして働いています。スクール選びに成功した人の話ではなく、確かめずに払ってしまった側の話として読んでいただければと思います。
私が払った金額と、そのあとの現実
まず前提として、私の数字を先に出しておきます。
- 通ったのは動画編集のスクールで、費用は約70万円、期間は6ヶ月でした
- 独立してから半年くらいは無収入でした
- そのあとの半年くらいも、収入は一桁万円台でした
- その間はアルバイトをしながら食いつないでいました
独立して最初の仕事は、クラウドソーシングでもらった動画編集の案件でした。単価は1本4,000円から10,000円くらいで、動画の尺によって金額が変わりました。そして、その最初の相手からは、すぐに連絡が来なくなりました。
初めて報酬を受け取ったとき、うれしさよりも先に「これで生きていける気がしない」と思ったのを覚えています。スクールを出れば何とかなる、と思っていたわけではないのですが、ここまで遠いとも思っていませんでした。
ここから、当時の自分が見落としていたことを、基準の形に直して書いていきます。
基準1|受講料を「案件何本ぶんか」に割り算する
いちばん大きな見落としがこれです。私の独立初期の編集単価は1本4,000円から10,000円でした。約70万円をこの単価で割ると、70本から175本ぶんになります。
つまり、受講料を回収するだけで、最低でも70本の納品が必要だったということです。私は払う前にこの割り算をしていませんでした。「70万円」という金額は見ていたのに、それが自分の仕事で何本ぶんになるのかは、一度も計算しなかったのです。
受講料そのものの高い安いは、この割り算をしてみないと判断できないと今は思います。確認したいのは次の2つです。
- 卒業後に想定される案件の単価はいくらか(未経験の初期単価で考える)
- 受講料はその単価の何本ぶんか。その本数を現実的にこなせそうか
単価は「慣れてきた人の単価」ではなく、始めたばかりの人の単価で見ておくほうが安全です。私の場合、最初の1本は4,000円台からでした。
基準2|「スキルが身につく」と「仕事が取れる」を分けて考える

スクールで学べば仕事につながる、と当時の私はぼんやり考えていました。実際には、編集ができることと、案件が取れることは別の問題でした。
私は営業が苦手です。初対面の相手とオンラインで話すと、人見知りと自信のなさが前面に出てしまいます。金額を出すときも、自信がないから自分から下げてしまっていました。提案資料を見てもらえたことはあったのに、そのあとの連絡は一切来ず、こちらからリマインドする勇気もなくて、そのまま終わったこともあります。
スキルを身につけたあとに待っていたのは、この「営業」の部分でした。ここでつまずくと、どれだけ編集ができても収入にはなりません。私が無収入の半年で毎日あがいていたのは、まさにここです。ココナラでコンサルをやったり、YouTubeをやったり、クラウドソーシングをやったり、思いつくものは一通りやりました。
だから、スクールを選ぶときに確認したいのは次の点です。
- 卒業後の案件獲得について、スクールがどこまで関わってくれるのか
- 関わってくれないなら、営業の部分を自分がどう埋めるのか
特に、私のように営業に苦手意識がある人は、「編集を学べば何とかなる」とは考えないほうがいいです。編集は入口で、収入を決めるのはそのあとでした。
基準3|受講料に「無収入の期間の生活費」を足して考える
スクールの費用というと受講料の約70万円を思い浮かべますが、実際に重かったのは、収入が無いまま費用だけが出ていく期間そのものでした。
私の場合、独立してから半年は無収入、そのあとの半年も一桁万円台です。その間の生活はアルバイトで食いつないでいました。つまり実際の負担は「受講料」ではなく、受講料に、収入が立つまでの生活費を足した総額だったわけです。
ここを見落としていると、受講料は払えたのに、そのあとの生活で苦しくなります。確認したいのは次の点です。
- 受講料を払ったあと、手元にいくら残るか
- 収入がゼロの期間が半年続いても生活できるか。できないなら、その間の収入源(アルバイトなど)をどうするか
「半年も無収入なんて自分は大丈夫」と思うかもしれません。私もそう思っていた側です。ただ、最初の案件の相手から連絡が来なくなる、というようなことは普通に起きます。収入が立つ時期は、自分の努力だけでは決まりませんでした。
基準4|相場を知ってから決める

私は約70万円を払いましたが、いまは同じような内容の講座が8万円から10万円くらいで売られているのを見かけます(2026年8月時点の目安です。最新の価格は各公式サイトで確認してください)。
もちろん、金額が違えばサポートの内容や期間も違うはずなので、安いほうが正解だと言いたいわけではありません。ただ、当時の私は相場を知らないまま決めていました。比べる対象を持っていなかったので、提示された金額が高いのか安いのか、判断のしようがなかったのです。
- 同じジャンルの講座を複数並べて、価格の幅を知ってから決める
- 価格の差が何の差なのか(期間、サポート、案件紹介の有無など)を自分の言葉で説明できるか確かめる
その差を説明できないうちは、まだ決めるタイミングではなかったのだと思います。
基準5|そのスキルを一生続けるとは限らない、と知っておく
これは選ぶときには想像もしていなかったことですが、私はいま、動画編集ではなくSNS運用代行を仕事にしています。70万円を払って学んだスキルが、そのまま今の本業になっているわけではないのです。
独立初期は、動画編集の案件と並行して、ココナラでコンサルの案件を10件ほどもらいました。1本3,000円で、時給に換算すると安かったのですが、実績にはなりました。そうやって試行錯誤しているうちに、仕事の軸が編集から運用のほうに移っていきました。
だからといってスクールが無意味だったとは思っていません。ただ、「このスキルで一生食べていく」という前提で大金を払うのは、今の自分なら少し立ち止まります。確認したいのはこういうことです。
- 学んだことが、別の仕事に方向転換したときにも活きる内容か
- 「回収しなければ」という金額の重さが、あとで方向転換の足かせにならないか
払った金額が大きいほど、「ここでやめたらもったいない」という気持ちが働きます。金額の大きさは、身軽さと引き換えでした。
後悔しているのは「入ったこと」ではなく「確かめずに入ったこと」

ここまで反省ばかり書いてきましたが、独立したこと自体は、今になって辞めてよかったと思えています。フリーランスはメンタルが不安定になりやすいし、将来の不安もあります。それでも、好きなことを好きな時間にやれている今の環境は、あの決断がなければ手に入りませんでした。
だから私の後悔は「スクールに入ったこと」ではありません。割り算もせず、相場も知らず、卒業後の営業のことも考えずに、確かめないまま70万円を払ったことです。同じお金を払うにしても、確かめてから払うのと、確かめずに払うのとでは、そのあとの半年の苦しさがまったく違ったはずだと思っています。
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まとめ|払う前に確認したい5つの基準
最後に、この記事で書いた基準をまとめます。
- 1. 受講料を「未経験の初期単価で案件何本ぶんか」に割り算する。私の場合は70本から175本ぶんでした
- 2. 「スキルが身につく」と「仕事が取れる」を分けて考える。営業をどう埋めるかまで含めて計画する
- 3. 受講料に、収入が立つまでの生活費を足した総額で考える。無収入の期間は半年続くこともあります
- 4. 相場を知ってから決める。価格の差が何の差なのかを説明できるようになってから払う
- 5. そのスキルを一生続けるとは限らないと知っておく。金額の重さは方向転換の足かせにもなります
この5つは、どれも払う前なら数時間で確認できることです。私はそれをしないまま払って、割り算をしたのは何年も経ってからでした。これから選ぶ方は、申し込みボタンを押す前に、まずこの割り算からやってみてください。
具体的にどのスクールをどう比べるかは、「動画編集スクールおすすめ比較|70万円払った卒業生が「選び方の基準」から話します」で、この記事の基準を実際のスクールに当てはめながら書いています。候補を絞る段階になったら、あわせて読んでみてください。


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