この記事が答える質問は、ひとつだけです。「仕事を辞めると伝えた日、実際には何が起きるのか」。
先に結論を書きます。私の場合は、電話で伝えて、そのあと話し合いの場が持たれて、引き止められました。それでも辞めました。最終日は特別なことは何も起きず、スタッフに挨拶をして普通に終わりました。後日お別れ会のようなものを開いてもらって、普通に楽しかったです。思っていたよりずっと、静かでした。
書いているのは「さとり」といいます。飲食の現場に10年いた元調理師で、そこからSNS運用代行のフリーランスとして独立しました。いまはインスタグラムの運用代行とMEOの運用代行を業務委託で受けながら、自分の事業を作っています。この記事は、その「辞めると伝えた日」の話です。
辞め方の正解を配る記事ではありません。私に起きたことを、起きた順に書きます。同じことがあなたに起きるとは限りませんが、「何が起きるか分からない」状態よりはマシになるはずです。
電話で伝えました
飲食の仕事を辞めると決めたとき、社長には電話で伝えました。
対面で切り出すのが筋だという考え方はあると思います。私もそれは分かっていました。それでも電話にしたのは、たぶん自分がそういう人間だからです。私はテキストのやり取りが昔から苦手で、いまも苦手なままです。初対面の相手とオンラインで話すと、人見知りと自信のなさが前に出てしまうことも自分で分かっています。そういう人間が、いちばん言いにくいことを、いちばん言いにくい形式で切り出すのは無理でした。
ここで書いておきたいのは、伝える形式を選ぶことと、伝える内容から逃げることは別だということです。電話にしたのは形式の話であって、辞めるという結論は変えませんでした。伝えたあとに何を言われても変えないつもりでいたし、実際に変えませんでした。
もし「どう伝えるか」で何日も止まっている人がいたら、そこは決着の場所ではないと思います。決着は「辞めるかどうか」のほうにあって、そこが決まっていれば形式はどれでも通ります。逆に、そこが決まっていないまま形式だけ整えると、話し合いの場で崩れます。
電話のあとに話し合いの場が持たれて、引き止められました
電話で伝えたあと、話し合いの場が持たれました。そこで社長からは「もったいない」「やめないでほしい」と言われました。
これは、私にとって想定していなかった反応ではありませんでした。ただ、実際に面と向かって言われると、思っていたより重く感じました。怒られるより、引き止められるほうがきついです。
怒られたなら「やっぱり辞めてよかった」と思えます。でも「もったいない」「やめないでほしい」は、こちらを否定していません。むしろ評価してくれている言葉です。だから反論のしようがない。反論のしようがないものを断るのは、単純に気力を使います。
それでも辞められたのは、辞める理由が人ではなかったからだと思っています。ここは、この記事でいちばん書いておきたいところです。
辞めた理由は、人ではなく構造でした
私が辞めようと思ったのは、変わらない日常のまま今後もこれが続くのか、と考えた瞬間でした。
当時は昼に出勤して真夜中に退勤する生活でした。労働時間が長くて、体力的に辛い。休みの日は体力が残らず、休みなのに何もできずに終わる。休憩時間もほとんど取れませんでした。だんだん、毎日が楽しくなくなってきました。
そして、給与や待遇について、社長とはずっと価値観が合わないと思っていました。頑張っても変わらない、という事実がありました。それがいちばん大きかったです。
料理そのものは好きでした。きつかったのは仕事の中身ではなく、労働時間のほうです。だから「この仕事が嫌になった」わけではありません。この働き方をこの先ずっと続けるのは嫌だ、というだけの話でした。
引き止められたときに揺れなかったのは、理由がここにあったからだと思います。人が理由なら、その人の態度が変われば理由は消えます。でも構造が理由なら、良い言葉をかけられても構造は変わりません。「もったいない」と言われても、労働時間は短くなりません。
辞めると伝える前に自分の中で決めておくといいのは、たぶんここです。自分が嫌なのは誰かなのか、それとも仕組みなのか。仕組みなら、話し合いでは変わらないので、辞めるという結論は動きません。
家族には相談しませんでした

辞めることを、家族には相談しませんでした。自分で決めました。
これは人に勧める話ではないので、そう書いておきます。相談したほうがいい人はたくさんいると思いますし、扶養している家族がいるなら話は完全に別です。私の場合は、相談しても結論が変わらないと分かっていたので、決めてから動きました。
ただ、生活の面で影響が出ていた相手はいました。当時は昼出勤・真夜中退勤の生活で、付き合っている人と生活リズムが合いませんでした。会えるのが夜になるので、予定を合わせるのが難しい。働き方は、自分だけの問題として閉じてくれません。ここも、辞めたい理由の一部だったと思います。
最終日は、特別なことは何も起きませんでした
ここが、たぶんいちばん拍子抜けするところです。
最終日は、特別なことは何も起きませんでした。スタッフに挨拶をして、普通に終わりました。
辞めると決めてから最終日までのあいだ、私は勝手に構えていたと思います。何か言われるんじゃないか、気まずくなるんじゃないか、空気が変わるんじゃないか。実際には、そういうことは起きませんでした。ただ普通の一日として終わりました。
そして後日、お別れ会みたいなものを開いてもらいました。普通に楽しかったです。嫌いで辞めたわけではないので、そうなるのは自然といえば自然でした。
辞めることを考えている人が想像しているいちばん怖い場面は、たいてい「最終日」だと思います。私の場合、怖かったのは伝える瞬間と、引き止められた話し合いの場で、最終日はいちばん静かでした。山は手前にありました。
辞めたあと、良いことばかりではありませんでした

ここを書かないと、この記事は嘘になります。
独立するために、私は動画編集のスクールに入りました。費用は約70万円、期間は6ヶ月です。収入が無いまま費用だけが出ていく時期でした。
そして独立してから半年くらいは無収入でした。そのあとの半年くらいも、収入は一桁万円台です。その間はアルバイトをしながら食いつなぎました。仕事が取れないので、毎日なにかしら試行錯誤していました。ココナラでコンサルをやったり、YouTubeをやったり、クラウドソーシングをやったり、思いつくものは一通りやりました。
初めて報酬を受け取ったとき、うれしさより先に「これで生きていける気がしない」と思いました。独立して最初の仕事はクラウドソーシングでもらった動画編集の案件で、その相手からはすぐに連絡が来なくなりました。ココナラのコンサルは1本3,000円で、10件ほど受けました。時給に換算すると安かったです。それでも実績にはなりました。
つまり、辞めた直後に良くなったわけではありません。辞めることは、状況が良くなることとイコールではありませんでした。辞めるのは、状況を変えられる場所に移るというだけです。
それでも、いまは辞めてよかったと思っています。フリーランスはメンタルが不安定になりやすいですし、将来も不安です。一人で仕事をしていると誰とも喋らないので、孤独だと感じます。それでも、好きなことを好きな時間にやれている今の環境は、あのとき辞めたから手に入りました。いま思えばよかった、という言い方しかできません。辞めた直後の私は、まだそう思えていませんでした。
伝える前に決めておくとよかったこと
私が実際にやったことと、やっておいてよかったと思うことを並べます。あくまで一例です。
- 辞める理由が「人」なのか「構造」なのかを、自分の中ではっきりさせておく。構造なら話し合いでは変わらないので、引き止められても結論が動きません。
- 伝える形式は、自分が言い切れる形式を選ぶ。私は電話にしました。形式で悩んで何日も止まるより、言い切れるほうを選ぶほうが前に進みます。
- 引き止められる前提でいる。私は「もったいない」「やめないでほしい」と言われました。否定ではなく評価の言葉で止められることがあります。想定しておくと崩れにくいです。
- 辞めたあとの無収入期間を、先に数えておく。私は数えていませんでした。半年無収入、その次の半年も一桁万円台でした。ここを知らずに辞めたのは、正直きつかったです。
最後の項目だけは、私自身ができていなかったことです。スクールに約70万円を払うとき、その金額が自分の仕事の何本ぶんに当たるのかを、払う前に計算していませんでした。独立初期の編集案件は1本4,000円から10,000円くらい、動画の尺によって変わります。70万円は、70本から175本ぶんです。この割り算を、私は払ったあとにしました。
誰に向く話で、誰には向かない話か

ここまで読んで、そのまま当てはめないでほしい人もいます。
この記事が役に立つのは、辞める理由が労働時間や待遇といった構造の側にあって、職場の人が嫌いなわけではない人だと思います。私がそうでした。だから引き止められても揺れず、お別れ会にも普通に行けました。
逆に、向かない場合もあります。
- ハラスメントなど、その場にいること自体が危険な状況にある人。私の話は、話し合いの場が成立する職場での話です。前提が違います。
- 扶養する家族がいる人。私は家族に相談せず自分で決めましたが、それは自分ひとりのぶんだけを引き受ければよかったからです。
- 次の収入のあてが必要な人。私は半年無収入でした。アルバイトで食いつなげたから続けられただけです。同じことを誰にでも勧められるとは思っていません。
辞める話は、勢いで背中を押されると気持ちよく読めてしまいます。でも押されて辞めるのは、たぶん今日の話ではありません。
まとめ:辞めると伝えた日に、実際に起きたこと
最初の質問に答えます。「仕事を辞めると伝えた日、実際には何が起きるのか」。私の場合はこうでした。
- 社長には電話で伝えました。
- そのあと話し合いの場が持たれて、「もったいない」「やめないでほしい」と引き止められました。それでも結論は変えませんでした。
- 最終日は特別なことは何も起きず、スタッフに挨拶をして普通に終わりました。
- 後日お別れ会みたいなものを開いてもらいました。普通に楽しかったです。嫌いで辞めたわけではありません。
怖かったのは、伝える前と、引き止められた場でした。そこを越えたあとは、思っていたより静かでした。
そして、辞めた理由は人ではなく構造でした。労働時間が長く、休みの日も体力が残らず、頑張っても変わらないという事実がありました。料理そのものは好きだったので、辞めたのは仕事の中身が嫌になったからではありません。だから引き止められても、結論は動きませんでした。
辞めてすぐ良くなったわけでもありません。半年無収入で、次の半年も一桁万円台でした。それでも、いまは辞めてよかったと思えています。
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もし、辞めたあとに何をするかがまだ決まっていないなら、先に「自分が何で食べていくか」を具体的にしておくほうが安全です。私はスクールに約70万円を払ってから、それが自分の仕事の何本ぶんかを計算しました。順番が逆でした。費用や期間は各社で違いますし、内容も変わります。まずは無料の相談や資料請求で、金額と期間と「卒業後に何ができるようになるのか」を確認するところから始めてみてください。金額や条件は2026年8月時点の目安です。最新の内容は各社の公式サイトで必ず確認してください。


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