会社を辞める前にやっておいてよかったこと・後悔したこと

会社を辞める前にやっておいてよかったこと・後悔したこと 副業

会社を辞めてフリーランスになる前に、何を準備しておけばいいのか。先に結論を書くと、私がやっておいてよかったと思うのは「辞める理由を自分の言葉ではっきりさせておいたこと」で、いちばん後悔しているのは「収入の準備を何もしないまま辞めたこと」です。

私は飲食の現場に10年いた元調理師で、そこからSNS運用代行のフリーランスとして独立しました。独立してから半年くらいは無収入で、そのあとの半年くらいも収入は一桁万円台。アルバイトをしながら食いつないでいた時期があります。

この記事では、その経験をもとに「やっておいてよかったこと」と「後悔したこと」を同じ密度で書きます。きれいな成功談にはなりません。むしろ後悔のほうが具体的です。これから辞めようか考えている人が、私と同じ穴に落ちないための材料になればと思います。

私が会社を辞めたときの話

前提として、私がどういう状況で辞めたのかを書いておきます。当時は昼に出勤して真夜中に退勤する生活でした。休憩時間もほとんど取れず、休みの日は体力が残っていなくて、何もできずに終わる。そういう毎日でした。

料理そのものは好きでした。きつかったのは仕事の中身ではなく、労働時間のほうです。ただ、だんだん毎日が楽しくなくなってきて、付き合っている人とも生活リズムが合わず、会えるのが夜になるので予定を合わせるのも難しい。そういう小さなしんどさが積み重なっていました。

辞めようと思ったのは、劇的な事件があったからではありません。変わらない日常のまま、今後もこれが続くのか、と考えた瞬間でした。給与や待遇について社長とは価値観が合わないとずっと思っていて、何より「頑張っても変わらない」という事実がありました。それがいちばん大きかったです。

辞めると決めたとき、社長には電話で伝えました。そのあと話し合いの場が持たれて、「もったいない」「やめないでほしい」と引き止められました。それでも決断は変わらず、最終日は特別なことは何も起きないまま、スタッフに挨拶をして普通に終わりました。後日お別れ会みたいなものを開いてもらって、普通に楽しかったです。嫌いで辞めたわけではないんです。

やっておいてよかったこと

オンラインで学ぶ様子

正直に言うと、私は準備が上手だったタイプではありません。それでも振り返って「これがあったから辞められた」と思えるものが3つあります。

辞める理由を自分の言葉で持っていた

社長に引き止められたとき、気持ちが揺れなかったのは、辞める理由が自分の中で言葉になっていたからだと思います。労働時間が長くて体力的に辛い仕事を、この先ずっと続けるのは嫌だ。頑張っても変わらない。この2つがはっきりしていました。

「なんとなく辞めたい」のままだと、引き止められた瞬間に崩れます。相手は真剣に「もったいない」と言ってくるわけで、こちらの理由が曖昧だと、その言葉のほうが正しく聞こえてしまう。辞める前に、給料が理由なのか、時間が理由なのか、人間関係なのか、自分はどれで辞めるのかを一度書き出しておくのをおすすめします。

これは独立後にも効いてきます。フリーランスはうまくいかない時期が必ずあって、私も無収入の半年間、「なんで辞めたんだっけ」と考える場面がありました。そのとき戻れる理由があるかどうかで、粘れるかどうかが変わると感じています。

最後は自分ひとりで決めた

辞めることを、私は家族には相談しませんでした。自分で決めました。これが誰にでも合うやり方だとは思いませんが、私にとってはよかったと思っています。

相談すると、たいてい止められます。止められること自体は相手の優しさなのですが、決めきれていない状態で反対されると、決断がどんどん先延ばしになる。自分で決めたという事実があると、そのあと苦しい時期が来ても「自分が選んだことだから」と引き受けられます。

ただし、生活を共にしている家族がいる場合は事情が違うと思います。ここで書きたいのは「誰にも言うな」ではなく、最終的な決断の責任を持つのは自分だ、という一点だけです。

ちゃんと話して、円満に辞めた

電話で伝えたあと、話し合いの場から逃げずに、引き止めの言葉も全部聞いた上で辞めました。結果として、お別れ会を開いてもらえるような終わり方になりました。

独立すると分かるのですが、フリーランスは想像以上に孤独で、人とのつながりが細くなります。前の職場と喧嘩別れをしていたら、その細さはもっとこたえたと思います。一般に、円満退職なら元の職場が仕事や人を紹介してくれることもある、と言われています。私自身はそういう紹介があったわけではないですが、「嫌いで辞めたわけではない」と言える辞め方をしておいて損はなかったです。

後悔したこと

ここからが本題かもしれません。やってよかったことより、やらなかったことの代償のほうが、金額としても期間としても大きかったです。

収入の種をひとつも作らずに辞めた

いちばんの後悔はこれです。私は独立するためにスクールに入りましたが、収入が無いまま費用だけが出ていく時期がありました。スクールには約70万円・6ヶ月かけています。そして独立してから半年くらいは無収入。そのあとの半年くらいも、収入は一桁万円台でした。

その間はアルバイトをしながら食いつないでいました。フリーランスになったはずなのに、生活を支えていたのはアルバイト代です。この期間のことを思い出すと、「辞める前に、小さくてもいいから収入になるものをひとつ持っておくべきだった」と今でも思います。

独立して最初の仕事は、クラウドソーシングでもらった動画編集の案件でした。当時の編集案件は1本4,000円から10,000円くらいで、動画の尺によって金額が変わりました。ココナラではコンサルの案件を10件ほどもらいましたが、1本3,000円。時給に換算すると安かったです。それでも実績にはなりました。

初めて報酬を受け取ったとき、うれしさより先に「これで生きていける気がしない」と思ったのを覚えています。だからあがいて、毎日いろいろ試しました。ココナラでコンサルをやったり、YouTubeをやったり、クラウドソーシングをやったり、思いつくものは一通りやりました。この試行錯誤自体は無駄ではなかったですが、収入ゼロの状態でやる試行錯誤は、精神的にかなりきついです。

営業が苦手なのに、営業の準備を何もしなかった

私はテキストでのやり取りが昔から苦手で、今でも苦手なままです。初対面の相手とオンラインで話すと、人見知りと自信のなさが前面に出てしまう。自分でも分かっています。正直、その時間が本当に嫌です。

その状態のまま独立したので、営業でつまずきました。金額を出すときも、自信がないから自分から下げてしまう。提案資料を見てもらえたのに、そのあとの連絡が一切来なかったこともあります。こちらからリマインドする勇気がなくて、そのまま終わりました。

スキルの勉強はスクールでやったのに、「仕事を取る練習」は一度もしないまま独立した。ここが抜けていました。フリーランスは、作る力と同じくらい、仕事を取りにいく場面が避けられません。営業が苦手だと自覚があるなら、辞める前にその苦手とどう付き合うかを考えておいたほうがいいです。私はその後、苦手を埋めるために自動化を作る方向に進みましたが、それは独立してだいぶ経ってからの話です。

在職中に「小さく試す」ことができなかった

今なら、辞める前に副業として小さく始めて、手応えを確かめてから辞めるのが理想だと思います。ただ、これを後悔として書くのは正直少し迷いました。というのも、当時の私にそれができたかというと、かなり怪しいからです。

昼に出勤して真夜中に帰る生活で、休みの日は体力が残らない。休憩もほとんど取れない。その状態で副業の時間を作るのは、現実的ではなかったと思います。だからこれは「やればよかったのに怠けた」という話ではなく、「やりたくてもできない働き方だった」という話です。

もし今この記事を読んでいるあなたに、週に数時間でも使える余力があるなら、それは私が持っていなかった選択肢です。辞める前に一件でも小さな仕事を経験しておくと、少なくとも「これで生きていける気がしない」という感覚を、収入がある状態で味わえます。同じ絶望でも、家賃を払える状態で味わうのと払えない状態で味わうのとでは、重さが全然違います。

一般に言われている退職前の準備

在宅ワークのデスク

ここからは、私の体験ではなく一般論として書きます。私自身が全部やったわけではないので、そこは正直に区別します。

まずお金まわりです。一般に、クレジットカードの作成や賃貸の契約は、会社員のうちに済ませておいたほうがいいと言われています。フリーランスになると社会的な信用の審査が通りにくくなる、というのがよく挙げられる理由です。私のように独立後しばらく無収入になる可能性を考えると、この手のことは在職中に片付けておくに越したことはないと思います。

次に手続きです。退職後は健康保険や年金の切り替えが必要になりますし、個人事業主として始めるなら開業届を出すことになります。一般に、開業freeeのような無料のサービスを使うと、質問に答えていくだけで開業届の書類が作れると言われています。手続きが苦手な人は、こういうものの存在だけでも辞める前に知っておくと気が楽です。

そして仕事の取り方です。一般に、フリーランス向けのエージェントに登録しておくと、営業をエージェント側が代わってくれて、案件を紹介してもらえると言われています。私が独立した当初はココナラやクラウドソーシングで自力で探すやり方が中心で、営業の苦手さに正面からぶつかりました。営業に自信がない人ほど、自力で戦う以外の選択肢を辞める前に調べておく価値はあると思います。

念のため書いておくと、準備を全部そろえたから安泰、ということはありません。私は準備が足りないまま辞めて苦労しましたが、準備すれば必ずうまくいくという話でもない。個人差がある前提で、リスクを減らせるものは減らしておこう、というくらいの温度感で受け取ってください。

それでも、辞めてよかったのか

最後に、いちばん聞かれそうなことに答えておきます。辞めてよかったのか。私の答えは「よかったと今になって思える」です。ただし、条件付きです。

いまやっている業務委託の仕事は、やっていること自体は会社員と変わらないと思っています。働く場所が違うのと、出社が無いだけ。フリーランスになれば毎日が自由で楽しい、という世界は少なくとも私のところには来ていません。メンタルは不安定になりやすいし、将来への不安もあります。

2026年8月の時点でも、不安は現在進行形です。自社の収益はまだ立っていないし、業務委託は仕事量が多くて大変なわりに利益は低い。AIを使った仕事に可能性は感じているものの、収益が立っていないので、方向性が合っているのか不安になることもあります。

それでも、好きなことを好きな時間にやれている今の環境は、辞めてよかったと思わせてくれます。昼に出て真夜中に帰る生活には、もう戻りたくない。頑張っても変わらない場所で頑張り続けるより、頑張った分だけ自分に返ってくるかもしれない場所で不安と付き合うほうが、私には合っていました。

辞めるかどうかは、最後は自分で決めることです。私が言えるのは、辞める理由を自分の言葉にしておくことと、収入の種を持ってから辞めること。この2つの重みだけは、身をもって知っている、ということです。

辞めたあとに必ず自分のところへ回ってくるのが、確定申告です。いくらから必要で、何を用意するのかは副業の確定申告でやること|いくらから必要か・何を用意するかに書いています。

まとめ

これからを考える様子
  • やっておいてよかったのは、辞める理由を自分の言葉ではっきりさせておいたこと。引き止められても揺れず、独立後の苦しい時期にも立ち返る場所になった。
  • 最後の決断は自分ひとりでした。自分で選んだという事実が、そのあとの無収入期間を引き受ける支えになった。
  • ちゃんと話して円満に辞めた。嫌いで辞めたわけではないと言える終わり方は、独立後の孤独の中で効いてくる。
  • いちばんの後悔は、収入の種をひとつも作らずに辞めたこと。独立後は半年ほど無収入、その後の半年も一桁万円台で、アルバイトで食いつないだ。
  • 営業が苦手だと自覚していたのに、仕事を取る練習をしないまま独立した。スキルの準備と営業の準備は別物だった。
  • 在職中に小さく試せる余力があるなら、それは大きな武器。収入がある状態で最初のつまずきを経験できる。
  • 手続きや信用まわり(開業届・カード・賃貸など)は、一般に会社員のうちに整えておくといいと言われている。営業が苦手ならエージェントのような選択肢も辞める前に調べておく。
  • フリーランスになっても不安は消えない。それでも、好きなことを好きな時間にやれる環境は、辞めてよかったと思わせてくれている。

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