クラウドソーシングで案件が取れないとき、多くの人は「実績がないからだ」と考えます。私もそう思っていました。
でも違いました。私の場合、実績はゼロのままでも、提案文を直しただけで受注できました。
この記事では、通らなかった提案文と、直した後の提案文を並べて書きます。何を変えたのかが分かれば、そのまま真似できるはずです。
結論:提案文で見られているのは3つだけ
発注する側の立場で考えると、判断材料はこれだけです。
- 募集内容をちゃんと読んでいるか
- この人に頼んで、ちゃんと形になるか
- 連絡が取れるか
逆に言うと、熱意・経歴・意気込みは判断材料になっていません。ここに文字数を使っている提案文は、読まれないまま流されます。
通らなかった提案文(私の失敗例)
当時、私が送っていたのはこういう内容でした。
はじめまして。◯◯と申します。
現在、動画編集を学んでおり、スキルを実践で活かしたいと考えております。
未経験ではありますが、責任を持って丁寧に作業いたします。
一生懸命がんばりますので、何卒よろしくお願いいたします。
丁寧ではあります。でも、返事は来ませんでした。
何がだめだったか
同期に読んでもらって、はっきり指摘されました。
- 自己紹介から始まっている——発注者は私が誰かを知りたいわけではない
- どの募集にも送れる内容——募集要項を読んだ形跡がゼロ
- 作業の話が一行もない——「丁寧に」「がんばります」では何をするのか分からない
- 未経験を自分から強調している——不安を与えるだけで得がない
言われてみれば当然です。でも自分では気づけませんでした。提案文は、自分では良し悪しを判断できません。
直した後の提案文
同じ人間が、同じ実績ゼロの状態で送って通ったのがこちらです。
募集内容を拝見しました。10分前後の解説動画を、週1本のペースで編集する案件という理解で合っていますでしょうか。
下記の流れで対応します。
・素材を確認し、不要部分をカット
・話の区切りごとにテロップを挿入
・BGMと簡単な効果音を追加
・初稿を3日以内にお渡しし、修正は2回まで対応
平日は19時以降、土日は終日作業できます。ご連絡は当日中に返信します。
近い形式で編集した動画をお送りしますので、テロップの見せ方などご確認いただければ幸いです。
変えたのはこの4点
- 1行目を「募集内容の確認」から始めた——読んだ証拠になり、認識のズレも先に潰せる
- 作業の手順を具体的に並べた——頼んだ後の絵が浮かぶ
- 納期と修正回数を自分から書いた——発注側が一番気にする部分を先回りした
- 連絡できる時間を明記した——「連絡が取れるか」への回答
売り込みの言葉はひとつも入っていません。やることの説明に徹しています。これは営業が苦手な人にとって、かなり書きやすい形です。
そのまま使える型

構成を整理すると、こうなります。
| 位置 | 書くこと | 目的 |
|---|---|---|
| 1行目 | 募集内容の確認(「◯◯という理解で合っていますか」) | 読んだ証拠・認識合わせ |
| 本文 | 作業手順を箇条書きで3〜4項目 | 頼んだ後が想像できる |
| 本文 | 納期・修正対応の回数 | 相手の不安を先回り |
| 本文 | 対応できる時間帯・返信の速さ | 連絡が取れる証明 |
| 末尾 | 近い形式の作例を1つ | 実力の提示(多く貼らない) |
長く書く必要はありません。むしろ、募集要項をたくさん読んでいる発注者ほど、短くて要点が揃っている提案文を好みます。
ジャンル別の書き方
型は同じですが、書く中身はジャンルで変わります。よくある3つで例を出します。
YouTubeの長尺編集
発注者が気にするのは「毎週続けられるか」です。1本の出来より、安定して納品できるかを見られます。
週1本、10分前後の解説動画の編集という理解で合っていますでしょうか。
・不要部分のカットと間の調整
・話の区切りごとのテロップ挿入
・BGMと効果音の追加
毎週◯曜日までにお渡しする形で、継続的に対応できます。
「継続的に」という言葉を自分から入れるのがポイントです。単発で終わらせない意思が伝わります。
ショート動画・切り抜き
ここで見られるのは量と速さです。1本あたりの単価が低い代わりに本数が多いので、処理能力が判断材料になります。
長尺動画から60秒以内の切り抜きを制作する案件という理解で合っていますでしょうか。
・盛り上がる箇所を選定
・縦型に再構成し、字幕を全編に挿入
・1日あたり◯本まで対応可能です
1日に何本できるかを数字で書くと、比較されたときに強いです。
企業のPR動画
実績を見られる領域なので、未経験のうちは通りにくいのが正直なところです。応募するなら作例の質を最優先にしてください。
「未経験ですが頑張ります」は逆効果です。できることの範囲を明確に示すほうが、まだ可能性があります。
やりがちな失敗
作例を大量に貼る
「たくさん見せたほうが安心されるはず」と思いがちですが、逆効果のことが多いです。募集内容に近い1本だけを選んで貼るほうが、狙いが伝わります。
単価交渉を最初に持ち出す
提案の段階で報酬の話を細かく詰めようとすると、それだけで避けられます。まずは受注してからのほうが結果的に早いです。
テンプレートをそのまま使い回す
型を使うのは問題ありません。ただし1行目の「募集内容の確認」だけは毎回書き直してください。ここが使い回しだと、他が良くても一発で分かります。
「未経験ですが」と自分から書く
聞かれていないのに弱点を差し出す必要はありません。できることを具体的に書けば、実績の有無は主要な判断材料ではなくなります。
そのまま送ってはいけない例
実際によく見かける書き方を、なぜだめなのかと一緒に挙げます。
「勉強中ですが精一杯やります」
発注者からすると、勉強中の人に自分の案件を練習台にされるように読めます。学習の段階を伝える必要はありません。できることを書けば十分です。
「格安で対応します」
安さを売りにすると、安さだけで比較される相手になります。もっと安い人が現れた瞬間に負けます。
それに、値下げをアピールする人は「品質に自信がないのかもしれない」と受け取られることもあります。金額は募集の範囲に合わせるだけで構いません。
「何でもやります」
頼む側は、何をやってくれるのかを知りたいのであって、範囲が無限であることを求めていません。むしろ、できることが曖昧な人には頼みにくくなります。
「即日対応可能です」だけ書く
速さは武器になりますが、それだけだと品質が想像できません。手順とセットで書いてください。
作例を貼らない
「ポートフォリオは追ってお送りします」と書いてある提案は、まず通りません。その場で判断できる材料がないからです。1本でいいので必ず添えてください。
それでも返事が来ないときは
提案文を直しても反応がない場合、次の順で見直してください。
- 応募している案件の層が高すぎないか——実績ゼロで企業のPR動画に応募しても通りません。まずは通る場所で実績を作る
- プロフィールが空になっていないか——提案文が良くても、プロフィールが空だと信用されません
- 応募が早いか——募集直後のほうが読まれます。時間が経った案件は競合が増えています
- 誰かに読んでもらったか——これが一番効きます
最後の項目は本当に重要です。私が抜け出せたのは、人に読んでもらったからでした。身近にいなければ、受注できている人の提案文の型を探して真似るところからで構いません。
返信が来たあとのやり取り

提案が通っても、そこから受注に至らないことがあります。返信後にやることも書いておきます。
返信は当日中に返す
ここが一番効きます。発注する側の不安の多くは「連絡が取れるか」です。内容が完璧でなくても、まず一言返してください。
「確認して本日中に改めてご連絡します」だけでも構いません。既読のまま数日空けるのが、最もよくない対応です。
細かい条件を先に確認する
受注が決まりそうな段階で、次を確認しておくと後で揉めません。
- 納期はいつか
- 修正は何回まで含まれるか
- 素材はどう受け取るか
- 支払いのタイミングはいつか
細かいことを聞くと嫌がられると思うかもしれませんが、逆です。ここを確認する人のほうが、仕事の進め方を分かっていると見なされます。
最初の1〜2分だけ先に見せる
これは実務的なコツです。全部作ってから見せると、方向性が違ったときに全部やり直しになります。冒頭だけ作って確認をもらうと、大きな手戻りを防げます。
納品時に次の話をする
忘れがちですが重要です。「今後も継続でご依頼いただける可能性はありますか」と一言聞くだけで、次につながることがあります。
私はこれを言わずに終わらせて、2ヶ月で契約が切れたあと振り出しに戻りました。提案文を磨くのと同じくらい、この一言に価値があります。
よくある質問
Q. 何件くらい送れば取れますか?
A. 一概には言えませんが、数より中身です。同じ文面を50件送るより、5件を丁寧に書いたほうが通ります。私も数を増やして解決したわけではありません。
Q. 実績がゼロでも本当に取れますか?
A. 私は実績ゼロのまま受注しました。ただし作例は1本用意していました。実績と作例は別物で、作例は今日からでも作れます。
Q. 挨拶や敬語は不要ということですか?
A. 不要ではありません。丁寧さは保ちつつ、挨拶に文字数を使いすぎないということです。一行で十分です。
プロフィールも提案文の一部
提案文だけ磨いても、通らないことがあります。発注者は必ずプロフィールを見に来るからです。
ここが空欄だと、どれだけ提案文が良くても「誰なのか分からない相手」になります。実際、空のまま提案を送り続けている人はかなり多いです。
書くのはこの3つで足りる
- 使えるソフトと、できる作業——「Premiere Pro/カット・テロップ・BGM・簡単な効果」のように具体的に
- 作例——1本でいいので必ず載せる
- 対応できる時間帯と連絡の速さ——提案文にも書きますが、プロフィールにもあると安心されます
実績ゼロをどう書くか
「未経験です」とわざわざ書く必要はありません。聞かれていない弱点を自分から差し出しても、得はひとつもありません。
代わりに、できることを具体的に書いてください。実績の有無より、何ができる人なのかのほうが判断材料になります。
顔写真は必須ではない
本名や顔出しがなくても受注はできます。ただ、アイコンが初期設定のままだと印象は弱くなります。イラストでも構わないので、何か設定しておくといいです。
提案の数と時間の使い方
最後に、現実的な運用の話をします。
1件に時間をかけすぎない
丁寧に書くことと、時間をかけることは違います。型ができていれば、1件あたり10分程度で書けます。毎回ゼロから考えていると、数が出せません。
使い回すのは構成です。1行目の募集内容の確認だけは毎回書き直す。ここさえ守れば、テンプレート感は出ません。
募集直後を狙う
時間が経った案件は、すでに多くの提案が集まっています。募集されたばかりのタイミングのほうが読まれます。毎日決まった時間に新着を確認する習慣をつけると、通る確率が変わります。
受注した後も止めない
これが一番の反省点です。1件決まると安心して営業を止めてしまいがちですが、その案件が終わった瞬間にゼロに戻ります。
私はこれで、初報酬まで1ヶ月と早かったのに、2ヶ月で振り出しに戻りました。受注中こそ、次の提案を出しておいてください。
実績ができた後の書き方

数件こなすと、書ける内容が変わります。次の段階の型も置いておきます。
実績があるときは、1行目の後に「近い案件の経験」を1文だけ足します。
募集内容を拝見しました。週1本の解説動画編集という理解で合っていますでしょうか。
同形式の解説動画を、これまでに◯本担当しています。
ここでも数を誇張しないことです。3本なら3本と書きます。受注後に実力とのギャップが出ると、次につながりません。
単価を上げるタイミング
実績がたまったら、応募する案件の単価帯を意識的に上げてください。同じ層に応募し続けても、収入は伸びません。
いきなり高単価に飛ぶ必要はありませんが、「今の単価の1.5倍くらい」を目安に、少しずつ上の案件に混ぜて応募すると現実的です。
継続の打診は自分からする
納品して評価をもらえたら、継続の可能性を自分から聞いてください。相手から言ってくれるのを待っていると、たいてい終わります。
私はこれをやらずに、初報酬まで1ヶ月と早かったのに2ヶ月で振り出しに戻りました。提案文と同じくらい、この一言に価値があります。
この型で初報酬までは早くたどり着けました。ただ私は、そのあと2ヶ月で失注しています。学習にまとまった額を払うか迷っている人は、その金額が何本ぶんの仕事にあたるかを先に見ておくと、決めやすくなるはずです。
まとめ
初案件が取れない原因は、編集スキルではなく提案文にあることが多いです。直すポイントはこれだけです。
- 1行目を募集内容の確認から始める
- 作業手順を箇条書きで具体的に書く
- 納期・修正回数・連絡できる時間を自分から書く
- 作例は近い形式のものを1本だけ
- 意気込みと自己紹介は削る
私はこれで、実績ゼロのまま初報酬にたどり着きました。もっと上手くなってから応募しようと思っている人ほど、まずここを疑ってみてください。


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